各国の規制情報

【2026年最新】日本産水産物・和牛の輸出規制マップ|EU・アメリカ・東南アジアまで国別に解説

「中国以外にどこに輸出できるか、調べると情報が多すぎてわからない」

そんな声をよく受けます。日本産食品の輸出規制は国によって内容がまったく異なり、しかも年単位で変わり続けています。「以前は通っていた書類が今は不足している」「規制が撤廃されたのに知らなかった」というケースも珍しくありません。

この記事では、アメリカ・EU・東南アジア・中東・インド・韓国・中国まで、幅広い地域の最新規制動向を整理します。「どこに輸出できるか」「何を準備すれば良いか」がわかることを目標にしています。

※この記事の情報は2025年〜2026年4月時点のものです。規制は突然変わることがあります。輸出前には必ず農林水産省・ジェトロの公式サイトで最新情報をご確認ください。

まず知っておきたい:世界の規制は「撤廃」に向かっている

2011年の東日本大震災・福島第一原発事故を受け、世界50以上の国・地域が日本産食品(水産物を含む)に対して輸入規制を設けました。しかしその後、科学的な安全確認が進み、規制を撤廃する国が相次いでいます。

農林水産省によると、2025年時点で規制を維持しているのは中国・香港・韓国・マカオなどに絞られています。なお台湾は2025年11月21日に全規制を撤廃しており、大半の国・地域はすでに日本産食品の輸入を通常どおり受け入れています。

以下、地域ごとの最新状況を解説します。

EU・イギリス:2023年8月に全規制撤廃済み

ドイツ・フランス・イタリアを含む全27カ国が完全オープン

EU(欧州連合)は2023年8月、福島第一原発の処理水に関連するすべての輸入規制を正式に撤廃しました。これにより、EU加盟27カ国およびイギリスへ、すべての都道府県産の水産物・食品が規制なく輸出できるようになっています。

EU向けの輸出で必要なのは、EUの食品衛生基準(EU規則)への適合です。処理水に関連した放射線証明書の提出は不要になりました。ただしEU独自の食品衛生基準・農薬残留基準は引き続き適用されます。

EU向け水産物の輸出に関しては、ジェトロの農林水産物・食品輸出ガイドで最新の手続き情報を確認できます。

EUを狙う場合に必要な準備

  • EU向け水産物の衛生証明書の取得(品目・産地によって書式が異なる)
  • EU農薬残留基準(MRL)への適合確認
  • EU食品表示規制への対応(原産国表示・アレルゲン情報など)

台湾:2025年11月に全規制を撤廃【注目の新市場】

産地証明書・放射線検査証明書がすべて不要に

台湾は2025年11月21日、東日本大震災以降に設けていた日本産食品に対するすべての輸入規制を撤廃したと発表しました(農林水産省・外務省・ジェトロが確認)。

撤廃された主な規制は以下の2点です。

  • 福島県・茨城県・栃木県・群馬県・千葉県の5県産食品に義務付けていた放射性物質検査証明書の提出
  • 日本産すべての食品(酒類を除く)に求めていた産地証明書の提出

2011年以降に実施した27万件以上の水際検査で放射性物質の不合格が一件もなかったことが、全面撤廃の決め手となりました。

台湾は日本食・和牛・水産物の需要が高く、距離的にも近い重要市場です。書類要件が大幅に簡略化されたことで、輸出のハードルが下がりました。台湾向け輸出の手続きは農林水産省:台湾の規制撤廃情報でご確認ください。

アメリカ:FSMA 204(食品トレーサビリティ規則)が2028年まで延期に

2026年施行予定だった規制が実質2028年まで先送り

2026年に注目度が高かったのが、米国のFSMA 204(食品安全強化法第204条)です。これは食品の生産から流通までの経路を記録・管理するトレーサビリティ規制で、生鮮・冷凍の魚類、甲殻類、二枚貝などの水産物も対象に含まれています。

当初は2026年1月20日施行の予定でしたが、2025年11月に米国議会が「2028年7月20日より前に施行するための連邦予算を使ってはならない」と指示し、事実上2028年7月まで延期となりました。

アメリカへの水産物輸出を検討している事業者にとっては、準備の猶予が生まれた形です。

ただし大手小売の自主基準は法規制より先行している

施行は延期されましたが、米国の大手スーパーマーケットは独自のトレーサビリティ対応を先に進めています。

  • ウォルマート(Walmart):2025年8月1日までにサプライヤーへの対応を要求済み
  • クローガー(Kroger):2025年6月30日までに対応を要求済み

大手スーパーのバイヤーと直接取引を目指す場合は、法規制の施行前であっても自主基準への対応が必要になります。

アメリカ向け水産物輸出で必要な手続き

東南アジア:2025年末に複数国が要綱を一斉更新

ベトナム:和牛輸出OK・処理水関連の規制は撤廃済み

日本産牛肉のベトナム向け輸出は可能です。農林水産省の認定を受けた食肉処理施設で処理された冷蔵・冷凍牛肉(心臓・肝臓・腎臓を含む内臓も一部対象)が輸出できます。処理水関連の輸入規制はすでに撤廃されています。

タイ・フィリピン:2025年10月に輸出要綱が更新された

農林水産省によると、タイ向け・フィリピン向けの牛肉輸出取扱要綱が2025年10月10日に更新されました。旧情報をもとに書類を準備すると通関で問題が生じるケースがあります。タイ・フィリピン向けを検討している場合は、必ず最新の要綱を確認してください。

インドネシア:2025年12月に水産食品の要綱が更新

インドネシア向け水産食品・飼料用水産物の輸出取扱要綱は2025年12月23日に更新されました。インドネシア向けを検討している場合は特に注意が必要です。

東南アジア各国の最新情報は、農林水産省:アジア向け証明書・施設認定の申請情報から確認できます。

中東・インド:規制撤廃済みで需要が拡大中

UAE・ドバイ・エジプト:処理水関連の規制を撤廃

UAE(アラブ首長国連邦)・エジプト・レバノンなどの中東諸国は、処理水関連の日本産食品輸入規制を撤廃しています(外務省情報)。

特にドバイ・アブダビは富裕層向けの高級日本食レストランが急増しており、和牛・高級水産物の有望市場として注目されています。ただし中東各国の食品安全当局ごとに求める書類・手続きが異なるため、輸出前に個別確認が必要です。

インド:2016年から解禁済み・成長市場として注目

インドは2016年2月に処理水関連の輸入規制をすでに撤廃しています。近年、インドでは中間層・富裕層の拡大を背景に日本食・高級食材への関心が高まっており、日本産水産物や和牛の新興市場として注目が集まっています。

韓国:市場は拡大中も産地規制が残る

韓国は2025年の日本農林水産物輸出先ランキングで5位(約1,094億円、前年比20.0%増)と急成長しています(ジェトロ情報)。日本食ブームが追い風となっており、水産物・和牛ともに需要が高まっています。

ただし韓国は独自の放射線検査証明書を求めるケースがあります。一部の産地(東日本エリア等)については別途対応が必要です。農林水産省:諸外国・地域における規制措置の変遷で韓国の最新対応状況を確認してください。

中国:複雑な状況が続く(参考)

中国は2023年8月から日本産水産物の全面禁輸を行い、2025年6月に条件付きで一部再開(ただし10都県は停止継続)、2025年11月に再び事実上の停止となっています。政治的な要因で規制が動きやすい市場であり、中国一極集中は大きなリスクを伴います。

中国向けの最新規制情報はジェトロ:中国向け水産物の輸入規制でご確認ください。

和牛を輸出する場合の追加チェックポイント

すべての国に輸出できるわけではない

和牛(日本産牛肉)は、日本政府と輸出先国との二国間協議が成立した国にのみ輸出できます。現在輸出可能な主な国・地域にはアメリカ・EU・香港・タイ・ベトナム・フィリピン・オーストラリアなどが含まれます。

受け入れ状況の最新一覧は農林水産省 動物検疫所:食肉等の受入れ状況一覧で確認できます。

認定施設からの出荷が必須

和牛は「輸出先国から認定を受けた食肉処理施設」で処理されたものだけが輸出できます。どの施設が認定を受けているかは農林水産省の公式サイトで確認できます。仕入れ先・加工先が認定施設かどうかが、和牛輸出の最初のチェックポイントです。

規制情報を調べるときの公式情報源

規制情報は突然変わることがあります。以下の公式ソースを定期的にチェックする習慣をつけましょう。

まとめ:輸出市場は世界に広がっている

日本産水産物・和牛の輸出市場は、中国だけではありません。EUは2023年に全規制を撤廃し、インドは2016年から解禁済み。中東も市場として成長しており、東南アジアの各国は独自ルールを更新しながら日本産食品を受け入れています。

一方で、規制の内容は国ごとに大きく異なり、また年単位で変わっていきます。「以前は問題なかった書類が今は不足」というトラブルを避けるためにも、輸出計画の初期段階から最新の規制情報を確認することが重要です。

各国向けの必要書類・手続きの流れ・市場開拓の相談など、お気軽にお問い合わせください。

※本記事の情報は2026年4月時点のものです。最新の規制情報は必ず農林水産省・ジェトロ・外務省の公式サイトでご確認ください。

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