国別の輸出要綱が更新された時は、資料を読んだだけで、出荷の条件を更新したと判断しません。
今回の貨物、施設、証明書、書類、出荷の予定の、どこに変更が関わるかを、順番に確認します。
この記事では、農林水産省の「マレーシア向け輸出牛肉等の取扱要綱」(最終更新日:令和8年9月10日)を例に、更新された要綱を案件へ反映する確認順を整理します。個別の施設や貨物が輸出できるかどうかは、この記事では判断しません。
最初に改正資料の対象範囲を確認する
更新日と対象を確認する
最初に、どの資料が、いつ更新され、何を対象にしているかを確認します。農林水産省のページと、要綱の本文から確認できる内容を、表にまとめます。
| 項目 | 確認できた内容 | 案件で見ること |
|---|---|---|
| 取扱要綱 | 作成日は平成29年11月7日、最終更新日は令和8年9月10日 | 案件の条件が、更新の前後どちらか |
| 対象 | 牛肉と内臓(ほほ肉、舌、牛脂を含む) | 貨物の品目が対象に含まれるか |
| 別紙様式 | 様式1、2、3-1、3-2、3-3、5-1、5-2が掲載されている | 使う様式が最新か |
| 認定施設リスト | 令和7年10月16日付の版が掲載されている | 取引先の施設が載っているか、版の日付 |
手続規程と国別の要綱を分けて見る
農林水産省の「輸出証明書の発行等に関する手続規程」は、令和2年4月1日に決定され、国別・品目別の要綱が別紙として付いています。最新の改正は令和8年9月18日ですが、これは英国・EU向けのゼラチン・コラーゲンに関する改正です。
マレーシア向けの牛肉等の要綱の更新日とは別なので、資料の更新日は、国と品目ごとに確認します。同じ農林水産省のページでも、要綱、様式、施設リストは、別々の日付で更新されます。

商品条件を今回の貨物へ置き換える
牛・牛肉の要件を表で照合する
要綱の3章には、マレーシア向けの牛肉と内臓の要件が定められています。主な項目を、確認することとあわせて整理します。
| 項目 | 要綱の定め | 案件で確認すること |
|---|---|---|
| 牛の由来 | 日本で生まれ、飼養された牛であること | 仕入先の由来の記録 |
| 検査 | と畜前検査とと畜後検査に合格し、伝染性疾病の兆候がないこと | 検査に合格した記録 |
| 枝肉の冷蔵 | 0〜4℃で最低24時間冷蔵し、pHが6.0未満であること | 処理の工程の記録 |
| 保管の温度 | 包装後は、冷蔵なら0〜4℃、冷凍なら−18℃以下 | 保管・輸送の温度帯 |
| 禁止物質 | βアゴニスト、ニトロフラン、クロラムフェニコールなどを含まないこと | 検査結果の資料 |
包装への表示を確認する
要綱の6章では、認定されたと畜場等が、牛肉と内臓の内装と外装の両方に、次の事項を表示するよう定めています。このうち、1から5は英語で記載します。
- 輸出先の国名
- 施設の名称、所在地、認定番号
- と畜年月日、加工年月日または製造年月日
- 部位と重量
- 製造ロット番号(製品から原料まで追跡できる番号)
- マレーシア側が認定した、日本国内のハラール機関のロゴ
輸送の条件も照合する
要綱の9章では、輸送の温度を、冷蔵なら0〜4℃、冷凍なら−18℃以下とすること、輸送に使う冷蔵車両とコンテナには、ハラール製品だけを積むことが定められています。輸送の手配をする時は、温度帯と、積み合わせの条件を、物流の担当者へ伝えます。
施設と証明書を貨物単位で照合する
施設がリストに載るまでの流れ
要綱の2章では、マレーシア向けの牛肉等を扱うと畜場等が、次の流れでリストに掲載されると定められています。取引先の施設が、どの段階にあるかを確認する目安になります。
- マレーシアイスラム開発庁(JAKIM)の認定、または、JAKIMが認めたハラール機関の証明を受ける
- 都道府県知事等へ、別紙様式1で申請する
- 都道府県知事等が条件を審査して認定し、厚生労働省へ報告する
- 厚生労働省が、施設の情報をマレーシア政府へ通知する
- マレーシア政府が、書類審査と現地調査を行う
- 許可された施設が、農林水産省の施設認定リストに掲載される
リストに掲載された日以降に、認定された施設でとさつ等が行われ、食肉衛生証明書が添付された牛肉と内臓が、マレーシア政府に認められます。掲載の日付と、貨物のとさつ等の日付を、照合します。
認定の条件と、年1回以上の確認
要綱の2章では、都道府県知事等が施設を認定する時の条件が、次のように定められています。取引先の施設を確認する時の、質問の項目にできます。
- と畜場法の設置の許可、または、食品衛生法の営業許可を持っていること
- HACCP方式による衛生管理を実施していること
- と畜場法や食品衛生法などの関係法規を守っていること
- 食肉処理場は、と畜場に併設され、とさつ、解体、分割、細切が一貫して行われていること
認定の後も、都道府県知事等が、と畜検査員または食品衛生監視員に、年1回以上、これらの条件の確認をさせると定められています。
製品の追加や変更は別の手続き
要綱の7章では、既に申請した製品と異なる製品を輸出する場合は、別紙様式5-1の申請が必要と定められています。施設のHACCP計画、設備やラインの変更、住所の変更などは、別紙様式5-2です。
いずれも、都道府県知事等と厚生労働省を通じてマレーシア政府へ通知され、受理の連絡を受けた後に、施設認定リストが更新されます。
確認できたリスト(令和7年10月16日付)では、取扱製品の欄に「Frozen/Chilled Beef Meat」と記載されています。要綱が対象とする内臓を扱う場合は、取引先の施設が製品の追加の手続きを済ませ、リストに反映されているかを確認します。
認可の期間と年次報告
要綱の8章では、マレーシア政府に認められる期間は1年とされています。1年目の年次報告書で問題がないと評価されると、期間は2年延長され、3年目に現地調査が行われます。
これらは施設側の手続きですが、継続して出荷する場合は、取引先の施設の認可が有効な状態かを、定期的に確認します。
書類と出荷予定を最後に更新する
食肉衛生証明書と関係書類を整理する
要綱の4章と5章に定められた書類を、照合する内容とあわせて整理します。申請は、輸出証明書発給システムまたは電子メールでも行え、その場合は、要綱の別添2によると定められています。
| 書類 | 要綱の定め | 照合すること |
|---|---|---|
| 発行申請書(別紙様式3-1) | 食肉衛生検査所または保健所へ提出する。品名は、施設認定リストの取扱製品の英語名を正確に記載する | 品名の英語表記がリストと同じか |
| 食肉衛生証明書(別紙様式3-2・3-3) | 正本と副本の2部が発行される。ハラール証明書が添付された牛肉等が対象 | 正本・副本、ハラール証明書 |
| 仮発行 | 荷送人、荷受人、仕向地が未定の場合は「×××」と記載して仮発行し、報告後に同日付で改めて発行する | 未定の項目と、確定の時期 |
| 輸出検疫証明書 | 食肉衛生証明書の正本・副本とあわせて、原本と副本を添付して輸出する | 動物検疫所の手続き |
| 検査済証(別紙様式4) | 開梱時に破れる方法で、梱包に貼付する | 梱包の仕様 |
返納と保管の決まり
交付された食肉衛生証明書に対応する牛肉と内臓について、ロットの再構成や、封印シールの開封などを行った場合は、速やかに証明書を返納します。証明書発行機関は、発行した証明書の写しと関係書類を、1年間保管します。
積み付けや梱包の予定が変わる可能性がある案件では、ロットを確定する時期を、出荷の予定に入れておきます。
発行停止などの措置がある
要綱の7章では、認定された施設が、認定の条件や牛肉等の要件に合っていない場合や、変更の手続きをしていない場合に、都道府県知事等が、改善の指導や、食肉衛生証明書の発行の停止などの措置を取り、その内容を厚生労働省へ報告すると定められています。
継続して取引する施設については、出荷のたびに、施設の状況に変更がないかを、取引先を通じて確認します。
変更を出荷予定に反映する
要綱の更新を確認したら、次の順で、出荷の予定と関係者への依頼を見直します。
- 貨物の品目、部位、温度帯が、更新後の要件に合うか
- 取引先の施設が、リストに載っていて、取扱製品が貨物と合うか
- 食肉衛生証明書の申請に使う品名が、リストの英語名と同じか
- 表示、梱包、輸送の条件が、要綱の定めと合うか
- 証明書の発行、検疫、搬入の日付が、出荷日から逆算して組めているか
確認できていない項目は、出荷できると判断せず、確認先と回答の予定日を記録します。参照した資料の更新日と、確認した日も、あわせて残します。