輸出ニュース

ズワイガニ・スケトウダラ等の最新資源評価を輸出提案にどう活かす?

水産庁は2026年10月2日、令和8年度の資源評価として8種15資源の結果を公表しました。ズワイガニとスケトウダラは、魚種名だけで一括りにせず、評価資料に示された系群、海域、漁期年を案件ごとに一致させて読む必要があります。

今回公表された評価をまずどう位置付けるか

今回の対象には、ズワイガニ日本海系群A海域・B海域、スケトウダラ太平洋系群、日本海北部系群、オホーツク海南部、根室海峡などが含まれます。

水産庁の公表は、資源調査・評価の結果を示すものです。輸出できるかどうか、海外の取引先が求める規格を満たすかどうかを直接判定する資料ではありません。

それでも、提案の前に系群別の漁獲量、資源量、親魚量、ABCなどを確認すれば、数量の相談を始める際に何を追加確認すべきかを整理できます。

ズワイガニ・スケトウダラ等の最新資源評価を輸出提案にどう活かす?

  • 資料の公開日と対象資源を確認する。
  • 魚種名に加え、系群・海域・漁期年を案件情報へ転記する。
  • 評価値と、実際に確保できる原料・製品の規格、数量、納期を別々に確認する。

ズワイガニは日本海の系群を分けて読む

日本海系群A海域の公表値

日本海系群A海域の資料では、2025年漁期の漁獲量は2.4千トン、資源量は2.7万トンです。数値は7月から翌年6月までの漁期年で示されています。

同資料は、将来予測に基づく2026年漁期の資源量を2.4万トンと見込み、2027年漁期のABCを3.0千トンと要約しています。

ここでいうABCは評価資料に記載された生物学的許容漁獲量です。案件で扱う数量や取引先への提示数量へ機械的に置き換えず、対象海域と品目規格を確認する出発点にします。

また、資料のABCは2027年漁期の要約値であり、2025年漁期の実績値とは時点が異なります。実績と将来の評価値を同じ列に置く場合は、漁期と値の性格を明記します。

製品名に「日本海産ズワイガニ」と記載するだけでは、A海域・B海域の評価資料のどちらを参照したか追跡できません。社内メモには参照PDF名と確認日も残します。

日本海系群B海域との取り違えを避ける

日本海系群B海域は、2025年漁期の資源量が6,826トン、漁獲量が263トンとされています。A海域とは評価対象の分布域も数値の単位も異なります。

同資料の2027年漁期ABCは620トンです。見積りや調達メモでは「ズワイガニ」とだけ書かず、A海域かB海域か、資料の漁期年か暦年かを残すことが重要です。

系群2025年漁期の主な公表値評価資料を読む際の要点
日本海系群A海域漁獲量2.4千トン、資源量2.7万トン。2027年漁期ABCは3.0千トン。
日本海系群B海域漁獲量263トン、資源量6,826トン。2027年漁期ABCは620トン。

スケトウダラは海域ごとの評価の型も確認する

太平洋系群の数字を提案の前提にする場合

太平洋系群は、北日本から北方四島の太平洋側に分布する群です。2025年漁期の漁獲量は4.7万トン、親魚量は27.3万トンでした。

資料では、目標管理基準値であるSBmsyを25.6万トンと算定しています。2025年漁期の親魚量はSBmsyの1.07倍、漁獲圧はFmsyの0.32倍と記載されています。

さらに、漁獲圧がFmsyを超えることが見込まれない場合、2026年から2028年漁期のABCを15.8万トンで固定する漁獲シナリオが示されています。

この値は評価資料上の前提付きのABCです。加工形態、サイズ、荷姿、出荷時期がそろうことを示す値ではないため、個別の調達確認へ進む必要があります。

日本海北部・オホーツク海南部・根室海峡の見方

日本海北部系群では、2025年漁期の資源量は33.7万トン、親魚量は15.7万トンとされています。資料の単位は漁期年であり、太平洋系群と同じ尺度で単純比較しません。

オホーツク海南部は、資源量の指標としてCPUEを用います。2025年漁期の資源量指標値は11.4トン/網で、管理方針上の目標水準4.40トン/網を上回りました。

根室海峡も別の指標が使われ、2025年漁期の漁獲量は0.5万トンです。複数海域を扱う場合ほど、数値の種類、単位、漁期年を同じ欄に混ぜない運用が必要です。

特に資源量、親魚量、漁獲量、CPUEは同じ意味ではありません。資料の見出しを省略して数値だけを転載すると、受け手が量の種類を誤解するおそれがあります。

オホーツク海南部の11.4トン/網は、資料で示された資源量指標値です。トン数で示される漁獲量や資源量と並べる場合も、指標値であることを省かないようにします。

系群・海域資料で確認できる値案件メモへ残す項目
太平洋系群2025年漁期の漁獲量4.7万トン、親魚量27.3万トン。ABCの前提、対象漁期、規格。
日本海北部系群2025年漁期の資源量33.7万トン、親魚量15.7万トン。系群、単位、漁期年。
オホーツク海南部2025年漁期の指標値11.4トン/網。CPUEと目標水準を区別する。

提案・調達で資源評価を使う確認順

資源評価の数字は、数量の提案前に確認項目を組み立てる材料になります。一方で、評価資料から価格、在庫、実際の供給可否までは読み取れません。

海外の取引先へ説明する前に、資料に書かれた事実と、仕入先・加工先から確認する事実を分けておくと、情報の根拠が明確になります。

  1. 求められている魚種、海域、製品形態、数量、納期を案件票で固定する。
  2. 対象系群の公式評価資料を開き、公表日、漁期年、単位、数値を確認する。
  3. ABCが示されている場合も、TACや個別事業者の確保可能量と同じ意味に扱わない。
  4. 原料・加工品の規格、ロット、温度帯、出荷時期、必要書類は取引先と供給側へ別途確認する。

案件票へ落とし込む記載例

案件票には、資料由来の情報を「2026年10月2日公表、スケトウダラ太平洋系群、2025年漁期漁獲量4.7万トン」のように一続きで記します。

これとは別に、「供給可否:確認中」「規格:取引先提示待ち」「数量:供給側確認中」と書けば、評価値と取引条件を混同せずに管理できます。

見積りの前に確認日を付けておけば、後日に資料が更新された場合も、どの時点の情報を前提に説明したかを確認できます。

欄記載する内容
公式評価公表日、資料名、系群、漁期年、単位、該当数値。
供給条件製品形態、規格、ロット、数量、供給時期、確認先。
取引先条件希望数量、納期、荷姿、温度帯、必要書類。

数値を引用するときの注意

数値の前後にある説明も読みます。たとえば漁獲量は漁期年の実績、親魚量は評価に使う指標、ABCは将来の漁獲シナリオに関係する値として示される場合があります。

そのため、引用文には「2025年漁期」「資源量」「親魚量」「ABC」のように、資料にある名称を残します。「豊富」「不足」といった評価語だけへ置き換えると、根拠の範囲が分かりにくくなります。

資料に将来予測があっても、それは資料に書かれた条件の下での予測です。個別案件の販売価格や、特定の加工品の確保可能量を示すものとして引用しないようにします。

資源評価から言えることと言えないこと

今回の公表資料からは、各系群について、評価対象、漁獲量や資源量の推移、管理基準値、将来予測または資源量指標を確認できます。

ただし、資料だけから特定の海外向け案件の調達量、販売価格、船積み時期、規格適合を断定することはできません。これらは評価資料に記載されていないためです。

提案書では「公表された資源評価の対象・数値」と「個別に確認中の供給条件」を分けて記載します。資料の引用範囲を越えた需給や価格の予測は書かないことが安全です。

資源評価は更新され得る資料です。案件の検討を継続する場合は、引用したPDFの公開日と確認日を案件票に残し、後日の更新版が出た時に再照合します。

資料を更新する時の扱い

評価資料を使う目的は、数字から結論を急ぐことではありません。対象をそろえ、確認が必要な点を可視化し、供給側と取引先に尋ねる順序を整えることです。

海外の取引先から資源の状況を尋ねられた場合も、資料名、公表日、系群、数値の種類を示したうえで説明します。資料に載っていない価格や納期については、確認中の取引条件として切り分けます。

この区分を保てば、更新された評価資料が公表された時にも、公式情報を差し替える箇所と、供給側へ再確認する箇所を分けて見直せます。

数値を差し替えた時は、本文、提案資料、案件票で同じ資料名と確認日を確認します。引用元を残す運用なら、更新の理由も説明しやすくなります。

関連記事

TOP
TOP
目次