では、どこの国に、どんな水産物や牛肉が輸出されているのでしょうか。
この記事では、農林水産省の2026年1-6月輸出実績をもとに、国別・品目別の読み方を整理します。
まず全体では、米国・香港・中国が上位に並ぶ
農林水産省の発表では、2026年1-6月の農林水産物・食品全体の輸出先は、1位が米国、2位が香港、3位が中国でした。
上半期累計では、米国が1,626億円、香港が1,100億円、中国が940億円です。
台湾、韓国、ベトナム、タイ、シンガポール、オーストラリア、マレーシアも上位に入っています。
水産物だけを見ると、米国572億円、香港433億円、ベトナム266億円、タイ209億円、韓国204億円、台湾163億円が目立ちます。

この数字だけで「その国なら何でも売れる」とは判断できません。
同じ水産物でも、仕向地ごとに強い品目、加工形態、温度帯、必要書類が違うためです。
水産物では、ぶり・ホタテ貝・さばの動きが目立つ
品目別では、水産物計が2,383億56百万円、前年同期比19.5%増でした。
水産物の中で金額が大きい品目として、ぶり、ホタテ貝、さば、真珠、かつお・まぐろ類などが並びます。
ぶりは434億61百万円で、前年同期比69.0%増でした。
農林水産省は、ぶりの増加要因として、北米や韓国向けの堅調な需要、単価上昇などを挙げています。
ホタテ貝は381億90百万円で、前年同期比9.1%増でした。
ホタテ貝については、ベトナム向けの加水加工用の玉冷需要などが増加要因として示されています。
さばは193億69百万円で、前年同期比132.7%増でした。
一方で、いわしは前年同期比22.1%減、さけ・ますは47.5%減です。
輸出実績を見る時は、伸びている品目だけでなく、減っている品目も同時に見る必要があります。
牛肉は台湾・タイ向け等の需要が伸びたと説明されている
和牛を考える場合、統計上の品目名は主に「牛肉」として確認します。
農林水産省の上半期資料では、牛肉は369億31百万円、前年同期比13.4%増でした。
増加要因として、台湾やタイ向け等で既存商流の拡大、新規商流の開拓などによる需要の高まりが挙げられています。
ここで注意したいのは、この資料の数字をそのまま「和牛だけの輸出額」と読まないことです。
海外営業では「和牛」という言葉が使われやすい一方、統計や通関分類では牛肉の区分で確認する場面があります。
商談資料に使う場合は、牛肉全体の実績、和牛として扱う商品の規格、仕向地の輸入条件を分けて整理します。
国名と品目名は、必ず組み合わせて読む
輸出実績の表では、国別の総額と品目別の総額が別々に示されることがあります。
たとえば、国別では米国が最大でも、その国にどの品目がどれだけ入っているかは、別の統計確認が必要です。
農林水産省の資料では、米国の増加品目としてぶり、緑茶、ソース混合調味料が挙げられています。
ベトナムではホタテ貝、さば、インスタントコーヒー、韓国ではぶり、ビール、たらが増加品目として示されています。
このように、国別順位だけを見ると水産物の販売先を誤って理解する可能性があります。
「どの国が大きいか」と「その国で何が伸びているか」は、必ず分けて見ます。
輸出者は、数字の次に規制・書類・供給体制を見る
上半期実績は、海外販売の入口を探す材料になります。
ただし、数字が伸びている国でも、すぐに輸出できるとは限りません。
水産物では、魚種、天然・養殖、冷蔵・冷凍、加工状態、原産地、施設認定、衛生証明書の要否を確認します。
牛肉では、認定施設、衛生証明書、動物検疫、相手国側の輸入条件、カット規格、温度帯を確認します。
また、伸びている品目ほど、供給量、価格、納期、継続出荷の可否が商談で問われます。
輸出実績は「売れそうな国」を決める資料ではなく、確認の優先順位を付ける資料として使うのが現実的です。
まとめ:伸びている数字は、商談前の仮説づくりに使う
2026年上半期の水産物輸出は、前年同期比19.5%増でした。
ぶり、ホタテ貝、さばなどの動きは、海外で求められている品目を考える手がかりになります。
牛肉も前年同期比13.4%増で、台湾やタイ向け等の需要増が説明されています。
ただし、統計は商談の答えではありません。
国別順位、品目別の伸び、国と品目の組み合わせ、現地規制、日本側書類、供給体制を順番に見ていくことが重要です。
“`