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EU・英国向け牛肉の取扱要綱が改正。宗教上のとさつの規定で、何が変わったのか

EU・英国向けに牛肉を提案するとき、宗教上のとさつに関する規定を聞くと、輸出者自身が新しい申請をするように感じるかもしれません。

結論から言うと、要綱に書かれている申告、添付書類、作業手順、動物福祉の規定は、認定と畜場・食肉処理施設側の手続・基準です。輸出者は、脱骨済み牛肉の仕入先に、今回のロットに関係する施設対応と製品の区分を確認します。

農林水産省のEU等向け食肉ページでは、英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱が令和8年10月21日に更新されています。

この記事で分かることは三つです。改正として公表された範囲、施設側の規定と輸出者の確認を分ける考え方、案件表へ残す項目です。

要綱には、宗教上のとさつについて何が書かれているか

通知が示した改正の範囲

厚生労働省・農林水産省の令和8年10月21日付通知は、EU等向け輸出食肉の取扱要綱について、宗教上の要件に従ったとさつの実施に係る規定と、放血方法に係る規定を追加する趣旨を示しています。

ここでいう「宗教上の要件に従ったとさつ」は、要綱に記載された表現です。記事では、特定の認証制度と同じ意味だとは扱いません。

新旧対照表を確認できないため、以下の各文言を今回新たに追加されたものとは断定しません。通知が示した本文7、別紙様式2・3、別添3・6、別添1〜3の放血方法の範囲で、現行要綱に書かれた主な規定を整理します。

要綱に書かれた主な規定内容要綱の位置
検査申請時の申告宗教上の要件に従ったとさつを実施する認定施設は、検査申請書の「とさつしようとする年月日」のとさつが該当するかを申告します。全稼働日で該当する方法だけを行う施設は申告不要です。本文7(1)①
認定申請の添付書類宗教上の要件に従ったとさつを実施する場合は、宗教と畜証明書発行機関の認証を受けたことを証する書類の写しを添付します。別紙様式2、別紙様式3
SSOPと区分管理放血方法やとさつ方法を併用する場合は、全パターンの作業手順書を作り、区分の設定、製品表示、枝肉・製品の保管方法を記載します。別添2
動物福祉同時かつ瞬間的に頸動脈を切断して意識を消失させる方法ではスタンナーは不要です。ただし、解体前の生存兆候の確認、定期的なモニタリングと記録が求められます。別添6

この四項目は、施設側が行う手続・基準です。輸出者が作業手順や申請書の内容を決めるものではありません。

たとえば、仕入先が「宗教上のとさつに対応している」と説明しても、その言葉だけで今回の脱骨済み製品の区分や記録まで確認したことにはなりません。

EU・英国向け牛肉の取扱要綱が改正。宗教上のとさつの規定で、何が変わったのか

誰が行う手続きかを、輸出者の確認と混同しない

認定施設が扱うこと

検査申請時の申告と認定申請の添付書類は、いずれも認定施設を対象にした規定です。輸出者が宗教と畜証明書発行機関の認証書類を自ら添付するものではありません。

放血の方法、作業手順、製品の区分管理、解体前の確認も、主に施設が整える内容です。輸出者が施設の作業手順を自ら決めるものではありません。

輸出者が確認すること

一方で、海外の取引先へ製品を提案する輸出者は、今回の規定と関係する貨物かを整理します。これは要綱に定められた申請様式ではなく、誤認を減らすための実務上の整理例です。

  • 仕入先と、処理に関わる認定施設の正式名称
  • 宗教上の要件に従ったとさつを行う製品として扱うか
  • 通常の製品と区分して保管・表示する必要があるか
  • 今回のロットに対応する製造日、加工日、記録の所在

たとえば、同じ施設が複数の方法で処理する場合、海外の取引先への説明に使う製品がどの区分に当たるかを、施設の回答とロット記録で確認します。聞き取りだけで確定扱いにせず、根拠を案件表へ残します。

この確認では、仕入先の回答を「確認済み」「回答待ち」「今回の製品に該当しない」に分けます。回答待ちの事項を、見積書や商品規格書の確定情報に混ぜないことが大切です。

たとえば、施設の対応状況は確認できても、今回のロット番号が未確定なら、施設欄だけを確認済みにします。製品欄とロット欄は未確認のまま残し、後の回答で更新します。

仕入先への確認は、三つの問いに分ける

施設、製品、記録の順に聞く

改正情報を案件へ反映するときは、「対応済みですか」と一つだけ聞くより、確認先と回答の意味を分ける方が整理しやすくなります。次の表は、公的な様式ではない実務上の整理例です。

確認の問い仕入先へ尋ねる内容案件表に残すもの
施設今回の牛肉を処理する認定施設と対応状況施設名、確認日、回答者
製品宗教上の要件に従ったとさつに関係する製品区分部位、ロット、区分
記録区分管理と製造記録を照合できる資料資料名、版、保管先

たとえば、ロースだけを見積もる場合でも、商品名だけで質問を終えません。部位、包装単位、冷蔵・冷凍、ロット、処理施設を一組にして、回答がどの製品を指すかを分かるようにします。

この表は、海外の取引先ごとの受入可否を示すものではありません。個別の販売条件や追加の書類は、取引先から得た根拠と最新の公式資料を分けて確認します。

質問を送るときは、「今回の脱骨済み製品について」という対象を先に書きます。施設全体の一般的な対応を尋ねる質問と、今回の製品の説明に使う事実を尋ねる質問を分けるためです。

脱骨済み牛肉の製品記録は、施設の説明と結び付ける

区分管理の説明を製品単位で受け取る

この記事では、脱骨済みの牛肉を前提に説明します。部位、包装、温度帯、ロットを一組として確認し、枝肉や骨付きの貨物を前提にはしません。

施設側で宗教上の要件に従ったとさつと別の方法を併用する場合、要綱は製品の区分管理に関する作業手順を扱います。輸出者は、その詳しい作業を指示するのではなく、今回の製品がどの記録で確認できるかを仕入先へ尋ねます。

たとえば、同じ日に複数のロットを加工する場合は、施設名だけでなく、製造日とロットを結び付けます。記録が後から更新されたときも、どの見積・商品規格に影響するかを追えます。

証明書と製品情報は同じ前提で確認する

要綱7(1)では、認定施設で製造された製品は、食肉衛生証明書に加えて、動物検疫所が交付する輸出検疫証明書を食肉に添付することにより輸出が可能とされています。証明書の取得順序は、この記事では断定しません。

食肉衛生証明書は、認定通知を受領した日以降の日付で発行されます。個別の貨物が今回の規定を満たすかは、この記事だけで判断するものではありません。

たとえば、施設の説明、製品規格、証明書の品名・重量・日付がずれていたら、出荷準備の前に同じロットを指しているかを確認します。確認できない事項は、確定した情報と混ぜません。

証明書の発行前後で、部位、包装単位、温度帯、出荷予定が変わることもあります。その場合は、変更した一項目だけを見るのではなく、製品規格、ロット記録、証明書の前提を横に並べて照合します。

改正情報を一度確認したら、次の案件でも日付から見直す

次にやること

改正の情報は、前回の案件の結論をそのまま使うためのものではありません。次の案件では、資料の更新日、今回の施設、今回のロットをもう一度対応させます。

  1. 取扱要綱の更新日と、今回参照する版を案件表に記す
  2. 仕入先へ、施設・製品・記録の三つに分けて確認する
  3. 海外の取引先から受けた個別条件は、公式要綱の内容と分けて記録する

国別の認定施設や全体の仕向け国条件を確認する作業と、今回の改正に伴う製品区分を確認する作業は、目的が異なります。前者は候補となる施設を知る入口、後者は今回の貨物の説明をそろえる確認です。

改正の通知を読んだ時点で、案件が直ちに同じ条件へ変わるとは限りません。今回の貨物、仕入先の施設、海外の取引先から受けた条件が、どこで交わるかを確認して初めて、説明に使える情報になります。

たとえば、海外の取引先から特定の宗教上の条件について質問を受けたら、口頭の説明だけで回答を固めません。質問内容、施設から受けた回答、対応する製品・ロット、確認日を同じ記録に残します。

この記録は、相手に適合を保証するためのものではありません。誰が、どの資料を基に、どの製品について確認したかを明確にし、次の確認が必要な点を残すためのものです。

よくある質問

Q. この改正で輸出者が新たな申請を出しますか。
いいえ。要綱で、宗教上のとさつに関する申告や添付書類の対象として書かれているのは、認定と畜場・食肉処理施設です。通知からは、輸出者向けの新しい申請様式は確認できません。

Q. 「宗教上の要件に従ったとさつ」は特定の認証と同じですか。
いいえ。要綱の表現を、記事だけで特定の認証制度と同一視しません。必要な条件は仕向け地と施設の根拠資料で確認します。

Q. 仕入先へ最初に何を聞けばよいですか。
今回の製品を扱う認定施設、製品区分、ロットと記録の対応を聞きます。これは要綱の申請様式ではなく、輸出者の実務上の整理例です。

参考情報:農林水産省「農林水産物及び食品の輸出証明書の発行等に関する手続規程」の別紙の一部改正について(令和8年10月21日)、農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」(最終更新日:令和8年10月21日)、動物検疫所「偶蹄類の畜産物の輸出」。

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