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韓国への輸出規制、北海道産ウニは輸出できる?証明書・検査手順を2026年版で解説

「ウニを韓国に輸出したいんですが、韓国って今も日本の水産物を全部禁止にしているんですよね?」

こんな相談を受けることが増えています。「8県が禁止」「証明書が必要」という断片的な情報が飛び交い、自分の商品が輸出できるのかどうかすら判断できない、という輸出初心者の方は少なくありません。

答えを先にお伝えすると、北海道産ウニは韓国へ輸出できます。ただし、政府が発行する放射性物質検査証明書(ほうしゃせいぶっしつけんさしょうめいしょ)の取得が必須条件になります。

この記事では、韓国の日本産水産物輸入規制の現状を整理したうえで、北海道産ウニを韓国へ輸出したい方が準備すべき証明書・検査・手順をシナリオ形式で解説します。「何から動けばいいかわからない」という方に向けて、明日から使える情報をまとめました。

韓国の日本産水産物輸入規制、2026年5月時点の現状

韓国は2011年の東日本大震災・福島原発事故を受け、日本産食品に段階的な輸入規制を導入しました。2013年9月9日以降は規制がさらに強化され、今日まで継続しています。

規制の3つのカテゴリー

現時点では日本全国を3つのグループに分けて規制が適用されています。

  • 【全面輸入停止(禁止)】8県産の水産物
    福島県・宮城県・岩手県・青森県・群馬県・栃木県・茨城県・千葉県。この8県を産地とするすべての水産物は、品目を問わず韓国への輸出ができません。
  • 【放射性物質検査証明書が必要】8都道県産の水産物
    北海道・東京都・神奈川県・愛知県・三重県・愛媛県・熊本県・鹿児島県。輸入禁止ではありませんが、日本政府が発行する放射性物質検査証明書の添付が必須です。
  • 【産地証明書のみで輸出可能】上記以外の都道府県
    政府発行の産地証明書(さんちしょうめいしょ)を添付すれば輸出できます。

北海道は「放射性物質検査証明書が必要」グループに該当します。 輸出は可能ですが、証明書の取得ステップが増えるため、スケジュールには余裕を持って準備する必要があります。

2025〜2026年の動き:規制は解除されたのか?

2025年8月、日本の農林水産大臣は韓国側に対して輸入規制の撤廃を求める申し入れを行いました。また2025年6月には中国がALPS処理水の海洋放出に伴い一時停止していた水産物輸入の一部を解除しており、韓国に対しても外交的な圧力が高まっています。しかし2026年5月時点では、韓国の規制は変更されておらず、継続中です。

「中国が解除したから韓国も同様」という情報が一部で広まっていますが、両国は別々の判断で動いています。韓国向け輸出を検討する際は、必ず最新の農林水産省・ジェトロ情報を確認してください。

※ 本記事の規制情報は2026年5月時点のものです。規制内容は変更される可能性があります。輸出前は必ず農林水産省・ジェトロの最新情報をご確認ください。

韓国の日本産水産物輸入規制マップ(農林水産省・ジェトロ情報を基に作成、2026年5月時点)

今回のシナリオ:北海道のウニ加工業者Aさんのケース

Aさんは北海道の函館市近郊でバフンウニ・ムラサキウニの仲介・加工を営む事業者(従業員4名)です。国内需要の単価下落を受け、韓国の日本食レストランへのウニ輸出を検討し始めました。チルド輸送での出荷を想定しており、産地は北海道のみ。Aさんは規制の存在を知っていましたが、具体的に何をすればいいのかがわかりませんでした。Aさんは何から手をつければいいでしょうか。

北海道産ウニを韓国へ輸出するための実務手順

Step 1:産地が輸入停止8県に該当しないかを確認する(出荷決定前・最初にやること)

まず最初に確認すべきことは、自分の商品の産地が輸入停止8県に入っていないかどうかです。北海道は禁止リストに含まれていないため、Aさんのウニは原則として韓国への輸出が可能です。

ただし注意が必要なのは、「産地」とは漁獲地(海域)だけでなく、加工・処理が行われた都道府県も関係する場合があるという点です。韓国の規制では、生産海域と加工地を証明書に記載することが求められています。Aさんのように函館(北海道)で漁獲・加工する場合は問題ありませんが、他県で漁獲された商品を仕入れて取り扱う際はその都道府県の規制区分を別途確認する必要があります。

Step 2:農林水産省の指定検査機関で放射性物質検査を依頼する(出荷予定の3〜4週間前)

北海道産の水産物を韓国へ輸出する場合、農林水産省が認定した指定検査機関で放射性物質検査を受け、その結果を証明書に添付しなければなりません。

検査では以下の核種(かくしゅ:放射性物質の種類のこと)を測定します。

  • ヨウ素131(I-131)
  • セシウム134(Cs-134)
  • セシウム137(Cs-137)

検査機器はゲルマニウム半導体検出器を使用し、検出限界値は0.7Bq/kg(ベクレル/キログラム)以下での測定が求められます。韓国政府が定める基準値はすべての食品について放射性ヨウ素・放射性セシウムともに100Bq/kgです。北海道産のウニでこの基準値を超えるケースは極めてまれですが、事前に証明書を取得しておくことで通関時のトラブルを防げます。

指定検査機関の一覧は農林水産省のウェブサイト「輸出食品等に対する放射性物質に関する検査の実施機関について」で確認できます。検査にかかる期間は機関によって異なりますが、通常1〜2週間は必要です。余裕を持って早めに依頼することをおすすめします。

Step 3:農林水産省へ放射性物質検査証明書の発給を申請する(検査完了後すぐ)

検査結果が出たら、農林水産省に放射性物質検査証明書(政府が発行する公式な証明書)の発給を申請します。申請はNACSS(農林水産省・農産品輸出に関する電子申請システム)経由で行うことができます。

農林水産省は「韓国向け(検査証明:水産物)」の申請者マニュアルを公開しており(令和6年4月1日現在版)、このマニュアルには申請書の書き方・添付書類・送付先が詳しく記載されています。初めての方は必ずマニュアルを読んでから申請してください。

発給された証明書には、核種別の検査数値と産地(生産海域・加工地の都道府県単位)が記載されます。この証明書は輸出通関時に必須の添付書類となります。

Step 4:輸出通関(日本側・船積み前)

韓国向け水産物の輸出通関では、以下の書類を準備します。

  • 商業インボイス(Commercial Invoice):品名・数量・単価・産地を記載
  • パッキングリスト(Packing List):箱数・重量の内訳
  • 放射性物質検査証明書(農林水産省が発行したもの)
  • 産地証明書(北海道庁が発行。活の水産物が対象)
  • 船荷証券(Bill of Lading)または航空運送状(Airway Bill)

Aさんのケースではチルド輸送を想定しているため、輸送方法と輸送時間を輸送業者・フォワーダー(輸送代行業者)と事前に相談して決定します。ウニのような鮮度が重要な品目では、船便より輸送時間が短い航空便を選ぶケースも多くあります。

Step 5:韓国側の輸入通関で何が起きるか

韓国の通関では、日本側が準備した放射性物質検査証明書を提出します。ここで知っておきたいのは、韓国の税関が独自に放射性物質検査を行う場合があるという点です。

韓国の通関検査で放射性セシウム(Cs-134+Cs-137)またはヨウ素(I-131)が0.5Bq/kg以上検出された場合、輸入者(韓国側)はさらに17核種の追加的な放射性物質検査証明書の提出を求められます。北海道産のウニでこの水準を超えるケースはほとんどありませんが、万が一の対応を韓国の輸入者と事前に話し合っておくと安心です。最終的な合否判定の基準値は100Bq/kgで、これを下回れば通関が認められます。

やってはいけない:3つの落とし穴

韓国向け水産物輸出でトラブルになりやすいポイントを3つ挙げます。

  • 落とし穴1:産地の混同 複数の産地からウニを仕入れて混合した場合、産地証明・検査証明が複雑になります。韓国向けの場合、「産地が明確にわかる商品のみを対象にする」という原則でスタートすることをおすすめします。
  • 落とし穴2:証明書の準備タイミングのズレ 検査・申請・証明書発給には時間がかかります。「輸出直前に依頼して間に合わなかった」というケースは実際に起きています。輸出予定日から逆算して、少なくとも3〜4週間前には検査機関への依頼をスタートさせてください。
  • 落とし穴3:規制変更の見落とし 「以前調べた情報で動いたら規制が変わっていた」という事態を防ぐため、農林水産省とジェトロのページを輸出ごとに確認する習慣をつけてください。特に日韓関係の外交的な動向によって、規制内容が変わる可能性があります。

明日からできる3つのアクション

  • 農林水産省の「韓国向け輸出に必要な手続について」ページを開き、申請者マニュアルをダウンロードする(農林水産省 韓国向け輸出手続
  • ジェトロの「水産物の輸入規制、輸入手続き(韓国)」ページで最新規制区分と必要書類を確認する(ジェトロ 韓国向け水産物輸出ガイド
  • 農林水産省が公開している放射性物質検査の指定機関リストから、自社の地域に対応した検査機関に問い合わせる

まとめ

今回のポイントを3点に整理します。

  • 北海道産ウニは韓国へ輸出できます。 輸入停止8県には含まれていないため、農林水産省が発行する放射性物質検査証明書を取得すれば輸出が可能です。
  • 韓国の規制は2026年5月時点でも継続中です。 中国が一部規制を解除したからといって、韓国も同じ動きをしているわけではありません。情報を個別に確認する習慣が必要です。
  • スケジュールには3〜4週間の余裕を。 検査から証明書発給までには時間がかかります。輸出を計画する段階で証明書の準備を始めることが成功の鍵です。

韓国向けの水産物輸出は、証明書の準備を含む手続きに慣れていない初心者にとってハードルが高く感じられます。有限会社あさひ通商では、書類準備から通関手続きまでをサポートする輸出業務代行を承っています。お気軽にご相談ください。

出典・参考資料

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