まず、今回の貨物が要綱の対象かを確認する
現行要綱は、日本からベトナムへ送る食用の水産動物とその加工品のうち、活水産動物を除き、包装・表示がなされていないものを対象と定義しています。
令和8年9月の改正資料では、食用の水産動物由来の加工食品で、包装されラベルが貼られている「包装された加工後の商品」を、要綱の対象外として整理したと説明されています。
その商品は、施設登録と輸出国が発行する衛生証明書の添付が不要とされています。ただし、該当性を最終的に判断するのはベトナム当局であり、水産庁は判断できないと案内しています。
品名だけで結論を出さず、加工内容、包装の状態、ラベルの有無を整理し、必要に応じて海外の取引先へ確認します。

改正前の手続経験をそのまま当てはめない
改正資料によれば、施設リストにすでに掲載された品目であっても、包装された加工後の商品に該当し得るかは、海外の取引先に確認する考え方です。
衛生証明書が必要と判断された場合は、従来どおり発行申請を受け付ける運用が示されています。案件ごとに確認した回答と確認日を残します。
| 確認する事実 | 見る資料・情報 | 案件で残す記録 |
|---|---|---|
| 加工の内容 | 製品仕様、加工工程、品名 | 加熱・乾燥・調味などの処理内容 |
| 包装と表示 | 荷姿写真、包装仕様、ラベル案 | 包装済みか、ラベルが貼られているか |
| 海外側の扱い | 海外の取引先からの確認回答 | 回答者、回答日、確認対象の貨物 |
施設は「最終加工施設」と認定状況を照合する
ベトナム国内で消費される対象貨物では、最終加工施設の認定と、ベトナム政府による登録が前提になります。
現行要綱でいう最終加工施設は、ベトナム向け輸出水産食品を最終的に加工する施設です。認定施設は、その最終加工施設のうち要綱に基づき認定された施設を指します。
認定要件は許可等と実際の処理を組み合わせて確認する
最終加工施設は、食品衛生法に基づく営業許可または営業届出、条例に基づく許可等、食品衛生監視員による監視指導を受けていることのいずれかに適合する必要があります。
加えて、頭尾や内臓の除去、フィレ・切り身等の処理、乾燥・調味・加熱・塩蔵・凍結、食品に接触する包装処理のうち、一つ以上を行っていることが要件です。
| 段階 | 要綱で確認するもの | 輸出者が照合すること |
|---|---|---|
| 施設要件 | 営業許可・届出等と加工処理 | 貨物を扱う工程が認定内容と合うか |
| 認定申請 | 様式、工程フローチャート、施設平面図 | 最新の工程図・平面図が用意できるか |
| 登録完了 | ベトナム政府の登録後に公表される認定施設リスト | 出荷時点の掲載状況を確認したか |
変更があれば認定事項の手続を確認する
施設の認定事項を変更または取り消す場合、認定施設責任者は別紙様式4で申請します。変更時は、原則として様式2、工程フローチャート、平面図、変更内容を確認できる書類を添付します。
施設名または所在地の表記だけを変更する場合は、工程フローチャートと平面図を省略できる扱いです。加工工程や包装工程が変わる案件では、この例外と混同しないようにします。
衛生証明書は貨物、検査、申請内容をそろえて考える
対象貨物をベトナム国内で消費する目的で送る場合、輸出の都度、要綱の検査を実施し、衛生証明書を申請します。
申請は一元的な輸出証明書発給システムで行うことが原則です。不測の事態で同システムによる発行ができない場合は、要綱の別添1に従い電子メールで申請します。
品質確認者とロットごとの検査記録をそろえる
検査は、輸出者が定めた食品衛生の知識を有する品質確認者が実施します。申請品目ごとに一ロットとして荷口を確認し、梱包数に応じた開梱数を目安にします。
梱包数が150以下なら3、150超から1,200以下なら5、1,200超なら8が目安です。梱包数が3に満たないロットは、開梱数を1とします。
輸出の都度、官能検査を実施し、結果を別紙様式7または検査結果を適切に確認できる任意様式へ記録します。検査結果の記録は3年間保管します。
- 申請する品目と、現物の荷口が合っているか
- 包装に破損がなく、製品固有の状態を保っているか
- 品質確認者名と検査実施日を申請書へ記載できるか
申請に添える書類を事前に照合する
衛生証明書の申請では、別紙様式5に関係書類を添え、認定施設で所定の加工が行われたことなどの誓約事項を了承したうえで申請します。
関係書類には、申請書の内容を確認できるインボイスの写し、パッキングリストの写し等、検査結果、食品衛生監視票等の写しが含まれます。申請者と輸出者が異なる場合は、輸出者の委任状も必要です。
| 書類・記録 | 要綱上の役割 | 照合する項目 |
|---|---|---|
| 別紙様式5 | 衛生証明書の発行申請 | 貨物、施設、検査結果の記載 |
| インボイス等 | 申請内容を確認する関係書類 | 品名、数量、荷受人、日付 |
| 別紙様式7等 | 官能検査の結果を示す記録 | 品質確認者、実施日、ロット |
| 食品衛生監視票等 | 衛生管理の実施状況を確認する書類 | 認定施設と書類の対応 |
証明書発行後の変更も書類管理に入れる
証明書発行後に記載内容の変更が生じた場合、証明書発行機関は貨物等の状況を確認します。改めて発行する証明書は、既発行分と異なる番号になります。
差し替えであること、既発行証明書の番号と発行日を証明書に記載する扱いです。出荷書類の修正だけで処理できるとは決めず、証明書への影響を先に確認します。
証明書発行機関は、申請内容と関係書類の一致を確認したうえで、電子署名を行った電磁的記録による証明書原本をシステムで発行します。
発行機関は証明書と関係書類を、証明書発行年度の翌年度から3年間保管します。輸出者側も、いつ、どの貨物に、どの資料を使ったかを案件単位で追える状態にします。
申請先と出荷予定を同時に確認する
衛生証明書は、規制対策グループまたは、認定施設もしくは輸出者の事業所の所在地を管轄する地方農政局等へ申請します。案件の所在地と申請先を、貨物の準備が整ってから探すのではなく、早い段階で確認します。
要綱は、生鮮品などで申請日当日の証明書交付を希望する場合、手続を円滑に行うため、事前に申請先へ相談するなど連携を図るよう定めています。出荷日だけでなく、検査日、申請日、証明書の受領方法を予定表に置きます。
申請内容と現物の照合を申請前に終える
証明書発行機関は、別紙様式5の1と関係書類の内容が合っていることを確認してから、証明書原本を発行します。申請の後に品名や数量を調整する運用ではなく、貨物と書類をそろえた状態で申請する前提です。
システムで発行できない不測の事態では、書面で証明書原本を交付する扱いも定められています。申請先での手交か郵送かを、申請先とあらかじめ調整します。
受領者と受領予定日も、物流の予定表に記録します。出荷担当者と共有します。
申請先は必要に応じて追加資料の提出を求めることができます。製品仕様、施設名、検査記録、荷口を確認できる資料の保存先を案件内で共有しておくと、追加確認への対応を整理しやすくなります。
| 予定表に置く項目 | 確認する理由 | 案件で決めること |
|---|---|---|
| 検査実施日 | 輸出の都度の検査記録が申請に必要 | 品質確認者と対象ロット |
| 申請日 | 申請書と関係書類の照合が必要 | 申請先、手数料、提出方法 |
| 証明書の受領 | 不測の事態の書面交付では受取方法を調整する | 手交または郵送の扱い |
改正を案件へ反映する実務チェックリスト
今回の改正は、すべての水産食品で施設や衛生証明書が不要になったという内容ではありません。まず貨物が要綱の対象かを確認することが出発点です。
対象に当たる場合は、最終加工施設、認定・登録状況、検査、証明書の申請書類を一つの確認表で追います。判断が難しい貨物は、要綱が求めるとおり事前にベトナム政府へ確認します。
- 製品仕様、加工内容、包装、表示をそろえ、対象該当性を確認する
- 最終加工施設の認定状況と、出荷時点の施設リスト掲載を照合する
- ロット、品質確認者、官能検査の記録を衛生証明書の申請前に確認する
- インボイス、パッキングリスト、申請書、検査記録の品名・数量・日付を照合する
- 確認できない事項は、確認先、回答予定日、対象貨物を記録する
水産庁は、要綱を9月16日付で改正したと案内しています。改正資料、現行要綱、農林水産省の申請案内を同じ案件ファイルで確認し、古い様式や過去の手順だけで判断しないことが大切です。