活水産動物なのか、それ以外の水産食品なのか。ベトナム国内で消費されるのか、再輸出などの用途なのか。
この分け方によって、最終加工施設の登録、衛生証明書、食用水産品証明書、輸入者側で確認する手続きが変わります。
まず商品区分を分ける
ベトナム向け水産食品では、最初に商品区分を分けます。
農林水産省のFAQでは、ベトナム向け水産食品の輸出にあたり、活水産動物か活水産動物以外か、さらに活水産動物以外の場合はベトナム国内で消費されるか等によって、必要な手続きが異なると説明されています。
つまり、冷凍魚、フィレ、エビ、ホタテ、水産加工品などを一括で「水産物」として扱うだけでは不十分です。
商談前には、魚種、加工状態、冷蔵・冷凍、包装の有無、国内消費向けか再輸出原料か、最終加工施設と最終保管施設を整理します。

日本で加工し、ベトナム国内で消費される場合
活水産動物以外の水産食品を日本国内で加工し、ベトナム国内で消費する場合は、施設登録と証明書の確認が中心になります。
農林水産省のFAQでは、事前に水産食品を取り扱う最終加工施設を認定し、ベトナム政府による施設登録が行われた後、輸出国政府が発行する衛生証明書の取得が必要になると説明されています。
JETROのベトナム向け水産物ページでも、日本で加工されベトナム国内で消費される場合、最終加工施設の登録が必要と整理されています。
登録手続きは、事前に最終加工施設が所在する都道府県の水産部局に対して行う流れです。
実務では、加工施設名、所在地、営業許可、加工工程、包装処理、保管施設、輸出する具体的な品目を早めに確認しておきます。
ベトナムが見る「加工」は広く考える
輸出者が注意したいのは、「加工」という言葉の範囲です。
農林水産省のFAQでは、ベトナムが定義する加工には、一般的な加工のほか、凍結や食品に接触する包装処理も含まれると説明されています。
そのため、切り身にした場合だけでなく、凍結、包装、ラベル付きの加工後商品などでも、確認すべき手続きが変わる可能性があります。
商品説明では「未加工」「加工品」と短く書くだけでなく、どの施設で何の処理を行ったかを具体的に残します。
この整理がないと、最終加工施設の登録対象か、衛生証明書が必要か、輸入者側で商品自己公表が必要かを判断しにくくなります。
衛生証明書と食用水産品証明書を混同しない
ベトナム向けでは、商品区分によって証明書の種類も変わります。
JETROは、水産動物およびこれらの加工品で活水産動物を除くものについて、最終加工施設や最終保管施設を所管する都道府県の証明書発行機関の衛生部局が衛生証明書を発行すると説明しています。
一方、活水産動物については、養殖場を所管する都道府県水産部局が食用水産品証明書を発行すると整理されています。
農林水産省のFAQでも、活水産物の場合は輸出の都度、証明書発行機関である都道府県に必要書類を添えて申請するよう案内されています。
ベトナム向けの商談では、まず活魚なのか、冷蔵・冷凍・加工された水産食品なのかを分けてから、証明書の種類と申請先を確認します。
衛生証明書が不要とされる場合もある
すべてのベトナム向け水産食品で、同じ証明書が必要になるわけではありません。
農林水産省とJETROは、外交目的、ベトナムから再輸出される輸出加工用原材料、試験用サンプル、見本市出展用、リコールまたは返品された輸出食品などについて、ベトナムの規制により輸出国政府が発行する衛生証明書の添付が不要と確認されたと説明しています。
また、農林水産省のアジア向け申請ページでは、包装された加工後の商品について、施設登録と衛生証明書の添付が不要と確認された旨も案内されています。
ただし、その場合でも、ベトナムにおける輸入食品検査のために製品の自己宣言書が必要になると案内されています。
輸出者は「証明書不要」とだけ理解せず、輸入者側で必要な商品自己公表や食品安全検査を確認します。
電子発行と品目数上限も確認する
証明書の運用方法も、商談時の確認項目です。
農林水産省のアジア向け申請ページでは、ベトナム向け輸出水産食品の証明書は、令和6年8月1日発行分から紙発行から電子発行に切り替わったと案内されています。
証明書原本はシステムからダウンロードする扱いとなり、申請者は紙媒体での受け取りが不要になっています。
また、令和7年3月17日申請分から、1件の証明書に記載できる品目数の上限は99となり、複数品目の場合は品目情報をAttachmentに記載すると案内されています。
複数魚種や複数加工品をまとめて提案する場合は、品目名、ロット、包装単位、証明書への記載単位を早めにそろえます。
施設リストは日本側とベトナム側の両方を見る
施設登録では、リストの確認も重要です。
農林水産省のアジア向け申請ページには、ベトナム向け輸出水産食品の取扱要綱、様式、記載例、施設リストが掲載されています。
同ページでは、ベトナムに輸出する際には、ベトナム農業農村開発省の動物衛生局HPに掲載されている登録施設リストでも、当該施設が掲載されていることを事前に確認するよう案内されています。
また、輸出できる品目は申請時の具体的な品目であり、ベトナム側では包括的な表記になっている場合があるため、施設ごとの具体的な輸出可能品目は各加工施設へ確認する必要があります。
輸出者は、施設名がリストにあるかだけでなく、自社の商品がその施設の対象品目に含まれるかを確認します。
輸入者側の食品安全検査と表示も確認する
日本側の施設登録や証明書だけで、ベトナム側の輸入条件がすべて確定するわけではありません。
JETROは、加工包装済み食品に該当する水産物を輸入する企業について、商品自己公表手続きが必要になると説明しています。
また、ベトナムでの輸入通関では、VNACCSを用いた申告や、必要に応じた食品安全検査などが関係します。
農林水産省のFAQでも、食品包装、ラベル表示、重金属規制などのベトナム国内規制や、他の手続き、必要書類を輸入事業者を通じてベトナム当局に確認するよう案内されています。
日本側では、商品名、原材料、加工工程、包装、表示、保存温度、賞味期限、検査結果の有無を、輸入者へ説明できる形にしておきます。
商談前の確認リスト
ベトナム向け水産食品の商談では、次の順番で情報をそろえると確認しやすくなります。
- 商品区分:活水産動物か、活水産動物以外か
- 用途:ベトナム国内消費向けか、再輸出原材料か
- 加工内容:凍結、切身、加熱、調味、包装処理の有無
- 施設:最終加工施設、最終保管施設、対象品目
- 証明書:衛生証明書か、食用水産品証明書か
- 申請先:都道府県の水産部局、証明書発行機関
- 輸入者側:商品自己公表、食品安全検査、通関書類
- 表示・検査:包装、ラベル、重金属、動物用医薬品
この確認リストを作ることで、バイヤーから「ベトナムへ送れますか」と聞かれた時に、確認すべき論点を分けて返答できます。
まとめ
ベトナム向け水産食品輸出では、商品名だけで施設登録や証明書の要否を判断しないことが重要です。
活水産動物かどうか、ベトナム国内で消費されるか、最終加工施設がどこか、どの証明書を申請するかを分けて確認します。
包装された加工後の商品や試験用サンプルなど、衛生証明書の添付が不要とされる場合でも、輸入者側の自己宣言や食品安全検査の確認は残ります。
商談前に、商品区分、加工施設、証明書、輸入者側手続きの4点を整理しておくことが、ベトナム向け水産食品輸出の現実的な第一歩です。