お知らせ

2030年5兆円が遠い。政府が農林水産物輸出のペースアップを宣言した第24回閣僚会議で見えた課題

「輸出の数字は伸びているのに、なぜ政府は焦っているのか」。2026年6月16日の閣僚会議の報道を見てそう感じた輸出事業者は多いはずだ。この記事でわかること:

  • 第24回閣僚会議で議論された「ペースアップ」とは何か
  • 2024年実績1.5兆円でも足りない理由(2030年5兆円目標との差)
  • 水産物・和牛の輸出事業者が今取れる行動

何が起きたか

第24回会議の概要

2026年6月16日(令和8年6月16日)、木原官房長官の主宰のもと、総理大臣官邸で「農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議(第24回)」が開催された。

会議の主テーマは「農林水産物・食品の輸出拡大のペースアップに向けた施策の展開方向」だ。政府はこの会議で、現状の輸出拡大施策の進捗を確認し、目標達成に向けた追加的な対応方針を議論した。

この閣僚会議とは何か

この関係閣僚会議は、2020年11月に立ち上げられた政府横断の輸出促進会議体だ。農林水産省・外務省・財務省・経産省・厚労省など複数省庁の閣僚が参加し、輸入国規制への対応や市場開拓施策を一体的に進める役割を担っている。第24回という開催回数が示すとおり、継続的に政府が注力してきたテーマだ。

※出典:首相官邸|農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議(第24回)農林水産省|農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略

輸出ビジネスへの影響

この会議が輸出事業者にとって重要なのは、「政府が輸出支援の加速を正式に宣言した」という事実だ。背景を理解すると、なぜ今この宣言が出たのかがわかる。

2024年実績は1.5兆円。それでも「焦り」が生まれる理由

農林水産省の発表によると、2024年の農林水産物・食品の輸出額は1兆5,073億円だった。12年連続で過去最高を更新し、初めて1.5兆円を突破した。数字だけを見れば好調に映る。

だが政府が掲げる2030年目標は「5兆円」だ。1.5兆円から5兆円へ、残り4年で3倍以上に伸ばす計算になる。現状の伸び率ではとても届かない。農林水産省も「目標2兆円(2025年)は見通せず」と認めており、このギャップを埋めるための「ペースアップ」が今回の会議のテーマとなった。

水産物と牛肉。明暗が分かれた2024年

2024年の輸出実績を品目別に見ると、明暗がはっきり分かれている。

  • 農産物:9,818億円(前年比+8.4%)
  • 水産物:3,609億円(前年比▲7.5%)
  • 牛肉(和牛):前年比12.1%増

水産物が落ち込んだ最大の要因は、中国による輸入制限だ。2023年8月のALPS処理水問題に端を発した中国の日本産水産物輸入停止は、その後部分的な再開と再停止を繰り返し、水産輸出全体を下押しした。政府が「規制への対応」を前面に掲げる背景には、この中国問題への対応も含まれていると考えられる。

一方、牛肉(和牛)は二桁増と好調だ。中東・東南アジア市場の開拓が進み、輸出先の多様化が奏功している。今後の政府支援策も、こうした市場多角化の方向で強化される可能性が高い。

政府支援が強化されるとき、先に動いた事業者が有利になる

政府が輸出拡大のペースアップを議論する局面では、必ず輸出支援施策の拡充が伴う。補助金・認証取得支援・規制対応の伴走支援などが強化されるタイミングだ。

こうした政府支援を活用するには、事前の準備が不可欠だ。書類体制が整っていない事業者は、支援を受けようとしても間に合わないケースが多い。「政府が動き始めたタイミングで、自社も動き始める」という判断が、輸出拡大の現場では実際に差を生む。

※数値出典:農林水産省|2024年の農林水産物・食品の輸出実績(2025年2月発表)

輸出事業者が今すぐ確認すべきこと

  1. 農林水産省の輸出支援メニューを確認する
    農林水産省が提供する輸出促進施策(補助金・専門家伴走支援・GFP登録等)は、ペースアップに伴い拡充される可能性がある。定期的にチェックしておくことを勧める。
    農林水産省|政府の輸出促進取組
  2. ジェトロの輸出支援ポータルに登録する
    ジェトロは農林水産物・食品の輸出支援ポータルを運営しており、国別の規制情報・市場調査・商談会情報などを無料で提供している。まだ登録していない事業者は今すぐ確認したい。
    ジェトロ|農林水産物・食品の輸出支援ポータル
  3. 輸出に必要な書類・認証の準備状況を点検する
    政府支援を受けるにも、実際に輸出するにも、輸出書類(衛生証明書・産地証明・HACCP認証等)の準備が前提だ。自社の対応状況を今一度確認し、不足があれば早めに着手することを勧める。準備の流れがわからない場合は専門家への相談も選択肢だ。

まとめ

2026年6月16日の第24回関係閣僚会議は、「輸出は伸びているが目標には遠い」という政府の危機感を示す会議だった。2030年5兆円目標の達成には、水産物・和牛を含む全品目での輸出ペースアップが必要であり、政府は今後も施策の強化を続ける方向にある。

輸出事業者にとってこのタイミングは、支援策の拡充が期待できる「準備の好機」だ。書類体制・認証取得・輸出先の多様化を今から整えることで、次の拡大局面に乗ることができる。

有限会社あさひ通商では、輸出に必要な書類申請代行・輸出コンサルティングをご支援しています。「どこから手をつければいいかわからない」という段階からご相談いただけます。詳しくはプロフィールのリンクからお問い合わせください。

関連記事

最新ニュース
TOP
目次