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禁輸3年で販路は変わった。今度の危機は温暖化による北海道の水揚げ激減だ

中国禁輸から3年が経ち、北海道産ホタテの輸出先は大きく変わった。しかし今、その産地では温暖化による稚貝の大量へい死が続き、供給量そのものが脅かされている。

  • 禁輸3年で実際に何が変わったか(数字で確認)
  • アメリカ・ベトナム・韓国など現在の仕向国別需要
  • 温暖化による水揚げ減少が今後の輸出ビジネスに与えるリスク

何が起きたか

2023年8月、中国は東京電力福島第一原発の処理水海洋放出を理由に、日本産水産物の輸入を全面停止した。北海道産ホタテにとって中国は長年最大の仕向国だっただけに、業界への打撃は甚大だった。

その後、2025年6月に中国が一部再開を発表したものの、同年11月には中国側が放射性物質の検査データ条件を厳格化。事実上の輸入停止状態に逆戻りした。2026年6月現在も、中国向けホタテ輸出は本格再開に至っておらず、情勢は依然として不安定だ。
(出典:日本経済新聞2026年6月、みなと新聞)

こうした商流の不安定さに加え、産地では気候変動による深刻な問題が浮上している。海水温の上昇でホタテ稚貝が育つ環境が失われつつあるのだ。

北海道漁連の見通しによれば、2025年度の道内ホタテ水揚げ量は33万6千トンと前年度比16.9%減の見込みで、2019年度以来6年ぶりに40万トンを下回る可能性がある。
(出典:北海道新聞2025年

ホタテが健康に育つ適水温は14〜18℃とされる。ところが近年の海水温上昇により、北海道の噴火湾では黒潮の一部が流入するようになり、稚貝が大量へい死する事態が相次いでいる。

さらに青森県の陸奥湾でも、2023〜2024年にかけて養殖2年目の新貝の平均へい死率が93.3%を記録した。産地の漁師からは「習近平よりも温暖化の方が怖い」という言葉まで聞こえるほど、気候リスクへの警戒感は高まっている。
(出典:北海道教育大学リポジトリ2025年3月UHBニュース

輸出ビジネスへの影響

中国禁輸をきっかけに、日本のホタテ業界は急速に輸出先を多角化させた。農林水産省の貿易統計によれば、2024年の日本産ホタテ輸出総額は695億円に達している。
(出典:ジェトロ・農林水産省2024年実績

仕向国別の内訳は以下のとおりだ。

  • アメリカ:191億円(5,395トン)、全体の55.2%を占める最大輸出先。米国内産ホタテの減産を背景に需要が急拡大している
  • 台湾:121億円(3,606トン)
  • ベトナム:106億円(2万9,340トン)、2023年はわずか8億円だったが1年で約13倍に急拡大
  • 韓国:78億円(1万2,411トン)
  • 香港:51億円(3,239トン)

特に注目すべきはベトナムの急拡大だ。ベトナムは加工拠点として機能しており、現地で殻むき・加工されたホタテがアメリカやEU向けに再輸出されるルートが確立されつつある。

2025年上半期(1〜6月)には北海道港からの食品輸出総額が389億円(前年同期比41%増)に達し、うちホタテが7割増の227億円を占めた。
(出典:農林水産省北海道農政事務所2025年8月

ただし、この好調ぶりは「売り先の確保」という観点での成果だ。もう一方の課題として「仕入れ量の確保」というリスクが水面下で膨らんでいる。温暖化による稚貝不足は今後数年にわたって水揚げを圧迫するとみられ、原料確保の難易度が年々高まっていく局面が続く見込みだ。

輸出ビジネスにとっての焦点は、今後「誰に売るか」から「どこから、どれだけ調達できるか」という生産サイドの管理へと移りつつある。産地との関係強化や代替調達先の確保を早期に進めた事業者が、次のステージで優位に立てる。

輸出事業者が今すぐ確認すべきこと

  1. ベトナム加工拠点の最新状況を確認する
    ジェトロは2025年に「ベトナムにおけるホタテ加工の現状」と題し、ホタテ取り扱い意向を持つベトナム水産加工企業16社のヒアリング調査結果を公開した。加工コスト・品質基準・取引条件など、現地パートナー選びに必要な情報を確認できる。
    ジェトロ「ベトナムにおけるホタテ加工の現状とベトナム水産加工事業者について」
  2. 農林水産省・ジェトロの輸出情報を定期チェックする
    中国の輸入条件の変化や各仕向国の検疫基準の更新は頻繁に発生している。農林水産省の輸出支援ポータルとジェトロのホタテ専用ページで最新情報を随時確認しておきたい。
    ジェトロ:ホタテ 日本産食材ピックアップ
  3. 仕入れ先との連携を強化し、供給量を早期に確保する
    温暖化による水揚げ減少は今後も続く可能性が高い。産地漁協や加工業者と早めに連絡を取り、シーズンごとの出荷可能量を事前に確認することが重要だ。バイヤーへの数量約束は、供給量の見通しを固めてから行うことを徹底したい。

まとめ

中国禁輸を機に進んだ輸出先の多角化は実績をあげており、アメリカ・ベトナムを中心とした新たな販路が定着しつつある。一方、温暖化による稚貝不足と水揚げ減少は今後数年にわたって産地を圧迫する可能性があり、輸出量の維持には原料確保の戦略が不可欠だ。販路と調達先を両輪で整えた事業者が、この難局で優位に立てる。

あさひ通商では、ホタテをはじめとする水産物の輸出に必要な衛生証明書・輸出申請・GACC登録サポートなどの書類手続き代行を承っています。仕向国の規制変更への対応や輸出先の開拓についても、お気軽にご相談ください。

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