貿易書類・申請代行

自由販売証明書を求められた時に確認したい申請前チェック

海外の輸入者から「自由販売証明書を用意できますか」と言われても、初めて食品を輸出する方には、その書類が何を証明するものなのか分かりにくいはずです。英語では Certificate of Free Sale や Free Sales Certificate と呼ばれることがあり、輸入者から略して CFS と言われることもあります。

結論から言えば、自由販売証明書は「日本国内で製造又は加工され、国内で流通可能な食品であること」を示すための書類です。ただし、輸出者が念のために自由に取る書類ではありません。農林水産省は、輸出先国の政府機関から提出を求められている場合に限り発行できると案内しています。この記事では、どのような場面で求められやすいのか、申請前に何を確認すべきかを、輸出者目線で整理します。

自由販売証明書を求められる主な場面

自由販売証明書を求められる典型的な場面は、輸入者が現地で商品登録、輸入許可、通関、販売許可、行政機関への届出を進める時です。輸出者から見ると、海外バイヤーや現地代理店から突然「CFSを出してください」と言われる形で始まることが多くあります。

たとえば、加工食品、調味料、菓子、飲料、健康食品に近い食品、常温で小売販売される食品などでは、輸入国側が「その商品は日本で普通に販売できる食品なのか」を確認したい場合があります。この時に、輸入者が現地当局の要求として自由販売証明書を求めてくることがあります。

自由販売証明書は、まず要求元と証明してほしい内容を確認してから申請準備に進みます。

場面1 輸入者が現地の商品登録を進める時

最も分かりやすいのは、輸入者が現地で商品登録を行う場面です。国や地域によっては、食品を輸入・販売する前に、商品名、製造者、成分、ラベル、販売形態などを行政機関へ登録することがあります。その添付資料として、自由販売証明書が求められる場合があります。

この時に注意したいのは、輸入者が求めているのが「自由販売証明書」なのか、「衛生証明書」なのか、「原産地証明書」なのか、あるいは別の証明書なのかを分けることです。英語のメールで certificate とだけ書かれている場合、相手が求めている書類名が曖昧なことがあります。申請を始める前に、現地当局の書類名、様式、必要な記載事項を確認します。

場面2 輸入許可や通関前に提出書類として求められる時

輸入者が輸入許可や通関準備を進める段階で、自由販売証明書を求めることもあります。これは、輸入国側が「その食品が輸出国で販売可能なものか」を確認するためです。輸出者側では、出荷直前に言われると間に合わない可能性があるため、見積りや出荷日を決める前に確認しておく必要があります。

自由販売証明書は、インボイスやパッキングリストのように自社で作って終わる書類ではありません。日本側の発行手続、製造所等の登録、申請情報の確認が関係します。輸入者から「通関で必要」と言われた場合でも、すぐに発行できる前提で納期を約束しないことが大切です。

場面3 小売販売用の加工食品を初めてその国へ出す時

自由販売証明書は、小売店等で販売されている形態の食品を対象に発行できるとされています。そのため、業務用原料だけでなく、海外の小売店、EC、スーパー、専門店で販売する予定の商品では、輸入者側が自由販売証明書を確認したいということがあります。

ただし、自由販売証明書があるからといって、その国で必ず販売できるという意味ではありません。輸入国側では、ラベル表示、添加物、残留農薬、原材料、食品分類、輸入者ライセンスなど、別の確認が必要になる場合があります。自由販売証明書は、あくまで日本国内で製造又は加工され、国内で流通可能な食品であることを示す書類として考えます。

場面4 現地当局が日本側の公的証明を求める時

輸入者が「会社の説明資料で十分」と言っているだけなら、自由販売証明書ではなく、商品規格書、会社案内、販売実績、ラベル画像などで足りる場合もあります。一方で、現地当局が公的な証明書を求めている場合は、輸出者側で日本の発行手続を確認する必要があります。

農林水産省の案内では、輸出食品の自由販売証明書の発行事務は、地方農政局、北海道農政事務所、内閣府沖縄総合事務局農林水産部で行うとされています。申請先や手続は、輸出者の住所、製造所等の登録、オンラインシステムの利用状況によって整理が必要です。

場面5 書類名は同じでも、相手が証明してほしい内容が違う時

実務でよくあるのは、輸入者が「Free Sale Certificate」と言っていても、実際には別の内容を期待しているケースです。たとえば、原産地の証明、製造者の証明、衛生状態の証明、成分の安全性、宗教対応、販売代理権、ブランド正規品であることなどを同時に求めている場合があります。

しかし、自由販売証明書で何でも証明できるわけではありません。証明書の記載事項と、輸入国側が求めている内容が一致しているかを確認する必要があります。相手国が求める様式や記載事項を輸入者から取り寄せ、日本側で発行できる証明内容と合うかを先に見ます。

申請前に確認したい5つのポイント

自由販売証明書を求められた時は、まず次の5点を確認します。第一に、誰が求めているのか。輸入者の希望なのか、現地政府機関の要求なのかを分けます。第二に、どの書類名で求められているのか。Certificate of Free Sale、Free Sales Certificate、CFSなど表記が揺れるため、現地の正式名称を確認します。

第三に、何を証明してほしいのか。日本国内で流通可能な食品であることなのか、衛生状態や原産地まで求めているのかを分けます。第四に、対象商品が日本国内で製造又は加工され、国内で流通可能な食品として説明できるか。第五に、製造所又は加工所の名称、住所、電話番号、商品パッケージ写真、製造所情報など、登録や申請に必要な情報をそろえられるかを確認します。

製造所等の登録を先に見る

農林水産省の案内では、自由販売証明書の申請前に、輸出する食品を製造又は加工する業者、つまり製造所・加工所の名称や住所等を、一元的な輸出証明書発給システムに登録する必要があります。登録はオンラインシステムで行う方法と、必要書類を地方農政局等へ提出する方法が案内されています。

ここで止まりやすいのは、輸出者と製造者が違う場合です。商社、卸売業者、EC事業者が輸出者になる場合でも、証明書には製造所や加工所の情報が関係します。仕入先から製造所情報を出してもらえるか、商品パッケージ写真や製造所に関する資料を用意できるか、事前に確認しておきます。

GビズIDとオンライン申請の準備

自由販売証明書の申請は、一元的な輸出証明書発給システムから行う案内になっています。このシステムを利用するには、法人又は個人事業主のGビズIDプライムアカウント取得が必要です。GビズIDを取得した後、システム上で事業者利用申請を行う流れです。

そのため、輸入者から自由販売証明書を求められてからGビズIDを準備するのでは、出荷予定に間に合わないことがあります。特に初回輸出では、商品情報、製造所情報、輸入者情報、出荷予定日、求められている証明書名を一覧にしてから申請準備へ進むことが重要です。

自由販売証明書では足りない場合もある

農林水産省は、農林水産物・食品輸出の際に、輸出先国や品目により要求される手続や証明書が異なると案内しています。自由販売証明書のほか、植物検疫証明書、輸出検疫証明書、施設認定や衛生証明書、放射性物質検査証明書、産地証明書、残留農薬基準値への対応、食品添加物規制への対応などが関係する場合があります。

つまり、自由販売証明書を取れば輸出書類がすべてそろうわけではありません。輸入者からCFSを求められた時こそ、仕向国、品目、販売形態、原材料、製造所、輸入者ライセンス、ラベル表示、必要証明書を一緒に確認する必要があります。

輸入者へ確認したい質問例

  • 自由販売証明書は、現地政府機関から求められている書類ですか。
  • 正式な書類名は何ですか。Certificate of Free Sale、Free Sales Certificate、CFSのどれですか。
  • 現地当局の指定様式や記載例はありますか。
  • 証明してほしい内容は、日本国内で流通可能な食品であることですか。
  • 衛生証明書、原産地証明書、放射性物質関連証明書など、別の証明書も必要ですか。
  • 商品登録、輸入許可、通関、販売許可のどの段階で必要ですか。
  • 原本が必要ですか。PDF提出でよいですか。
  • 提出期限はいつですか。
  • 証明書に製造者名、製造所住所、輸出者名、商品名のどこまで記載する必要がありますか。

あさひ通商へ相談する時に用意したい情報

自由販売証明書の相談では、商品名だけでは判断できません。商品名、製造者名、製造所又は加工所の住所、商品パッケージ写真、国内での販売形態、輸出先国、輸入者が求めている書類名、現地当局の指定様式、希望出荷日を整理しておくと、確認が進めやすくなります。

あさひ通商では、食品輸出に関する書類確認、必要証明書の切り分け、輸入者への確認項目整理、申請前の情報整理を支援しています。自由販売証明書が必要と言われた段階で、すぐ申請に進むのではなく、まず「誰が、何のために、どの内容を証明してほしいのか」を確認することが手戻り防止につながります。

自由販売証明書を求められた時の初動確認をご相談ください。

輸入者から届いた書類依頼、商品情報、製造所情報、出荷予定を整理し、申請前に確認すべきポイントを一緒に切り分けます。

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