輸出業務代行

食品サンプル依頼が来たら最初に作るべき、輸出用の商品情報リスト

海外バイヤーから「サンプルを送ってほしい」と連絡が来た時、すぐに送付可否や運賃を返したくなります。しかし食品、水産物、和牛、加工食品では、商品情報が足りないまま返事をすると、後から確認が増えやすくなります。最初に作るべきものは、見積書ではなく、輸出用の商品情報リストです。

この記事では、サンプル依頼メールを受けた直後に、輸出者が社内で何を1枚にまとめるべきかを整理します。

サンプル依頼は「送る作業」ではなく「商品情報の確認」から始まる

JETROは、輸出では自社商品を海外向けにPRし、引き合いに対して取引を行うか検討すると説明しています。

同時に、相手国側で許可や申請の対象品目か、法定検査が必要かも確認すると案内しています。

つまり、サンプル依頼は小さな荷物の発送依頼ではありません。相手国の規制、輸入者の準備、商品情報、書類の前提を確認する入口です。

税関の輸出申告情報でも、貨物の品名、数量、価格、仕向地、仕向人などは輸出申告の基本事項として扱われます。

まず商品そのものを第三者が判断できる粒度にする

最初に整理するのは、商品名だけではありません。日本語名、英語名、品目、原材料、加工状態、内容量、荷姿、保存方法を並べます。

水産物なら、魚種、天然か養殖か、丸魚、フィレ、切身、冷凍、冷蔵、加熱済みかを分けます。

和牛なら、部位、カット規格、冷凍か冷蔵か、真空包装か、個体識別に関わる情報を確認します。

加工食品なら、原材料、添加物、アレルギー表示、内容量、箱入り数、保存方法、製造者名を確認します。

ここまで整理しておくと、バイヤー、輸入者、通関業者、検査機関が同じ商品を見ている状態を作りやすくなります。

製造所・加工所・ロット情報を先に出せる形にする

食品サンプルでは、どこで作られた商品なのかが重要です。製造所、加工所、保管場所、ロット番号、製造日、賞味期限を確認します。

農林水産省の自由販売証明書の案内では、申請前に輸出する食品の製造または加工を行う業者の名称、住所などを登録する必要があるとされています。

自由販売証明書が常に必要という意味ではありません。ここで重要なのは、証明書が関係する場面では製造所情報が後から必要になりやすいという点です。

サンプルの段階でも、製造所名、住所、製造者と販売者の違い、ロットを追えるかを社内で確認します。

温度帯と賞味期限は「送れるか」より先に見る

サンプルを送る時は、常温、冷蔵、冷凍のどれで扱う商品かを最初に分けます。

水産物や和牛では、温度帯が変わると、梱包、輸送方法、到着後の保管、受け取り可能日が変わります。

賞味期限は、商品に印字された日付だけでは不十分です。製造日、出荷予定日、現地到着予定日、バイヤーが評価する日を並べます。

バイヤーが知りたいのは、サンプルが届くかどうかだけではありません。届いた時に、評価に使える状態で残日数があるかです。

サンプルの用途を販売用と混同しない

次に確認するのは、サンプルの用途です。社内試食、シェフ評価、展示会、商談用、顧客向け試食、販売前テストでは意味が変わります。

この記事では特定国の制度を断定しません。国や品目によって、サンプルでも輸入者側の許可、検査、表示、証明書が関係する場合があります。

そのため、商品情報リストには「誰が、どこで、何の目的で使うサンプルか」を必ず入れます。

バイヤーが単にsampleと言っていても、実際には店頭で配るのか、レストランで顧客に出すのか、社内だけで評価するのかを分けます。

数量・単価・無償か有償かを分ける

サンプルでも、数量、単価、総額、無償か有償かは整理します。

税関は、輸出申告の添付書類として仕入書またはそれに代わる書類が必要だと案内しています。場合によっては包装明細書なども関係します。

サンプルだから価格を空欄にする、数量をざっくり書く、包装単位を後回しにする、という進め方は避けます。

輸出用の商品情報リストには、希望数量、1個あたり重量、ケース入り数、総重量、単価、無償提供か有償販売か、送料負担の考え方を入れます。

バイヤーへ返す前に作る商品情報リスト

食品サンプル依頼を受けたら、次の項目を1枚にまとめます。完璧な書式より、関係者が同じ情報を見られることが大切です。

  • 商品名、日本語名、英語名、品目、想定HSコード候補
  • 原材料、添加物、アレルギー、加工状態、内容量
  • 製造所、加工所、販売者、保管場所、ロット番号
  • 製造日、賞味期限、保存方法、温度帯、出荷可能日
  • 包装単位、ケース入り数、個重量、総重量、梱包形態
  • サンプル用途、使用場所、使用者、評価予定日
  • 希望数量、単価、無償か有償か、送料負担の考え方
  • 仕向国、到着都市、輸入者、荷受人、現地通関業者
  • 輸入者から求められた証明書、ラベル、写真、規格書

このリストがあると、バイヤーへの返信、輸出可否の確認、必要書類の確認、物流見積もりを同じ前提で進めやすくなります。

既存記事と違うポイントは「制度」ではなく「返信前の社内整理」

食品輸出の記事では、証明書、施設認定、ラベル、納期、梱包条件などを個別に扱うことが多くなります。

今回の主題は、それらの制度を細かく説明することではありません。バイヤーからサンプル依頼が来た瞬間に、輸出者がどの情報を先に社内で固めるかです。

ここを分けておくと、「送れますか」という質問に対して、すぐに断定せず、確認すべき不足情報を落ち着いて返せます。

商品情報リストは、輸出代行、通関、証明書申請、冷蔵・冷凍物流へ進む前の共通メモになります。

関連記事

最新ニュース
TOP
目次