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消費税8%から1%へ下がると食品輸出の還付金はどう変わる?

食品の消費税率が8%から1%へ下がると聞くと、輸出者にとっては「還付金も変わるのか」が気になるところです。
食品輸出では、国内販売と違い、輸出売上は消費税が免除される一方、国内で仕入れた商品や経費には消費税が含まれます。そのため、輸出者は仕入税額控除を通じて還付を受ける場面があります。
ただし、2026年8月10日時点で、食品の消費税率を1%にすることは決定事項ではありません。内閣府の2026年6月19日の大臣記者会見では、令和9年4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を1%とする案が示されたものの、制度の方向性が現時点で決定されたものではないと説明されています。
この記事では、仮に飲食料品の税率が8%から1%へ下がった場合、食品輸出者の還付金にどのような変化が起き得るかを整理します。

まず現行制度では食品は8%、輸出売上は免税で見る

国税庁の軽減税率制度の説明では、現行の軽減税率は8%です。対象は、酒類や外食などを除く飲食料品などです。標準税率は10%、軽減税率は8%という複数税率のもとで、事業者は税率ごとに区分して経理する必要があります。

一方、国税庁の輸出取引の免税では、国内からの輸出として行われる資産の譲渡などは、一定の要件のもとで消費税が免除されると説明されています。食品を海外へ輸出する場合、輸出売上に消費税を上乗せして海外バイヤーから受け取るのではなく、輸出免税として扱うのが基本的な考え方です。

ここで大切なのは、輸出売上が免税でも、国内仕入れや国内経費に含まれる消費税が消えるわけではない点です。輸出取引に対応する課税仕入れには、商品仕入れ、輸出に必要な事務用品、広告宣伝費などの経費も含まれ、仕入税額控除の対象になる場合があります。

還付金は売上の消費税ではなく仕入税額で動く

輸出者が混同しやすいのは、「輸出売上の税率が下がるから還付金が変わる」と考えることです。輸出売上はもともと免税として扱われるため、食品税率の変更で直接見るべきなのは、海外バイヤーに請求する売上消費税ではありません。

見るべき中心は、国内で仕入れる食品や輸出関連経費に含まれる消費税です。現行で軽減税率8%の食品仕入れが、仮に1%になると、同じ税抜仕入額であれば仕入れに含まれる消費税額は小さくなります。輸出売上に係る消費税額が少ない、またはゼロに近い事業者では、控除しきれない仕入税額が還付のもとになります。その仕入税額が小さくなれば、還付額も小さくなる方向に動きます。

たとえば、税抜100万円の食品を国内で仕入れる場合、8%なら消費税相当は8万円です。1%なら1万円です。単純化すれば、この差の7万円分、仕入税額控除の材料が減ります。実際の還付額は、ほかの課税売上、経費、税率区分、課税売上割合、インボイス保存、申告方式によって変わるため、個別に計算する必要があります。

食品輸出者に起きやすい3つの変化

1. 食品仕入れ中心の還付見込みは小さくなりやすい

水産物、和牛、加工食品などを国内で仕入れて輸出する事業者は、国内仕入れに含まれる消費税を還付見込みとして資金繰りに入れている場合があります。食品税率が8%から1%へ下がる前提では、食品仕入れに含まれる消費税額が減るため、還付見込みも小さくなりやすくなります。

ただし、仕入れのすべてが食品8%とは限りません。輸送費、保管料、梱包資材、広告宣伝費、専門家報酬、システム利用料などは標準税率10%の課税仕入れになる場合があります。還付額を見る時は、食品仕入れだけでなく、10%経費と1%対象になり得る食品仕入れを分ける必要があります。

2. 還付額より先に資金繰りの前提が変わる

還付額が小さくなることは、単純に悪い話とは限りません。仕入時に支払う消費税額も小さくなるため、仕入時点の資金負担は軽くなる可能性があります。現行8%で大きな仕入れを行う場合、仕入時に消費税を含めて支払い、申告後に還付を受けるまで資金が寝ることがあります。

仮に1%になれば、支払う消費税額も還付される消費税額も小さくなります。つまり、「あとで戻る金額」は減る一方、「先に出ていく税額」も減るという見方が必要です。輸出者目線では、還付金だけを見るのではなく、仕入時の支払額、申告までの期間、還付入金までの期間を合わせて見ます。

3. 課税事業者でなければ還付は受けられない

国税庁は、免税事業者は課税仕入れ等に係る消費税額の控除ができないため、課税売上げに係る消費税額より課税仕入れ等に係る消費税額が多い場合でも還付を受けることはできないと説明しています。還付を受けられるのは、課税事業者または課税事業者となることを選択した事業者に限られます。

輸出者の中には、輸出免税や還付を見込んで課税事業者を選択するケースがあります。食品税率が1%へ下がる案を考える時も、まず自社が課税事業者なのか、インボイス登録をしているのか、仕入税額控除に必要な帳簿と請求書等を保存できているのかを確認する必要があります。

8%から1%になると、還付金は7%分そのまま減るのか

タイトルのように「8%から1%へ下がる」と聞くと、還付金が7%分そのまま減るように見えます。しかし、実務ではそう単純ではありません。食品仕入れ部分だけを見れば、同じ税抜仕入額に対する消費税額は8%から1%へ下がります。その意味では、食品仕入れに対応する仕入税額控除の材料は小さくなります。

一方で、輸出業務には食品仕入れ以外の費用もあります。国内運送、倉庫、冷蔵・冷凍保管、梱包資材、検査、証明書関連、専門家報酬、広告費、事務用品などの税率は一律に1%になるとは限りません。国内課税売上がある事業者では、売上側の消費税額との相殺もあります。

したがって、確認すべきなのは「還付金が7%分減る」と決めつけることではなく、仕入れと経費を税率別に分けて、どの部分が1%対象になり得るのか、どの部分が10%のままなのかを試算することです。

輸出者が今から確認したい実務ポイント

食品仕入れとその他経費を分ける

まず、仕入れ明細を食品仕入れとその他経費に分けます。水産物、和牛、加工食品などの商品仕入れは軽減税率の対象になり得ますが、すべての商品や経費が同じ税率とは限りません。請求書、インボイス、会計処理で税率別に区分できているかを確認します。

輸出売上と国内売上を分ける

輸出免税売上と国内課税売上が混在する事業者では、還付額の見方が変わります。輸出専業に近い事業者と、国内販売も多い事業者では、売上税額と仕入税額の関係が違います。食品税率1%案の影響を見る時は、輸出売上比率も確認します。

還付金を利益として見ない

消費税還付は、輸出者の利益そのものではありません。仕入れや経費に含まれていた消費税を、制度上控除しきれない場合に戻す仕組みです。還付額が大きいから利益が大きい、還付額が減るから必ず損をする、という見方は危険です。

食品税率が下がる前提では、還付額だけでなく、仕入時に支払う税込金額、価格交渉、輸出価格、粗利、入金サイト、申告サイクルを合わせて見ます。とくに冷凍水産物や和牛など仕入金額が大きい商品では、税率変更が資金繰り表に出やすくなります。

結論:食品輸出者は「還付額」より「仕入税額の構造」を見る

食品の消費税率が8%から1%へ下がる案が実現した場合、食品輸出者の消費税還付は、食品仕入れに含まれる消費税額が小さくなる分、減少方向に動く可能性があります。ただし、輸出売上はもともと免税であり、実際の還付額は、課税事業者かどうか、仕入税額控除の要件、食品以外の10%経費、国内売上の有無、申告方式によって変わります。

輸出者が今見るべきなのは、制度案を決定事項として扱うことではありません。現行の8%軽減税率、輸出免税、仕入税額控除、課税事業者の前提を整理し、自社の仕入れと経費を税率別に分けておくことです。還付金だけを追うのではなく、仕入時の支払額、還付までの期間、輸出価格への反映まで含めて確認することが、食品輸出の資金繰りでは重要です。

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