水産・和牛 仕入れ代行

和牛輸出の商談前に確認したい、部位・カット・使い方の伝え方

和牛輸出の商談では、海外バイヤーだけでなく、加工業者からカット仕様を確認されることがあります。その時に、ノーマルカットなのか、九州スタイルなのか、別の指定カットなのかを聞かれて、何を答えればよいか迷うことがあります。

同じ部位名でも、カットの分け方、脂の残し方、筋引き、厚み、重量、包装単位が違えば、相手が想定する商品とずれます。

特に、ノーマルカット、九州スタイルなどの呼び方は、加工業者から仕様確認として聞かれる現場の言葉です。

この記事では、加工業者から聞かれた時に詰まらないよう、部位・カット・使い方の伝え方を初心者向けに整理します。

まず「部位名」と「カット仕様」を分けて考える

農林水産省は、牛肉は部位ごとの特徴が明確で、部位に応じた調理によっておいしく食べられると説明しています。

一方で、輸出商談では、部位名を知っているだけでは足りません。相手が知りたいのは、実際に届く商品の形です。

たとえば、リブロース、サーロイン、ヒレ、かた、ばら、ももという部位名は、商談の入口になります。しかし、そのままブロックで出すのか、焼肉用にスライスするのか、薄切りにするのか、ステーキ用に厚みをそろえるのかで、商品は大きく変わります。

初心者は、まず「部位名」と「カット仕様」を別の欄に分けると整理しやすくなります。部位名は肉の場所、カット仕様は商品としての仕上げ方です。

加工業者にノーマルカットと聞かれた時の考え方

加工業者から「ノーマルカットでよいですか」と聞かれた時は、「標準だから細かく確認しなくてよい」と考えない方が安全です。

実務上は、その加工場や仕入れ先が通常出している標準仕様を指している場合があります。ただし、どこまで整形するか、脂をどの程度残すか、筋をどこまで取るかは、相手先や加工場によって変わります。

初心者が確認したいのは、ノーマルカットという名前そのものではありません。確認すべきなのは、実際のカット図、写真、重量帯、脂の残し方、筋引き、包装形態です。

たとえば、同じロース系でも、ステーキ向けの厚切りで使いたいのか、スライスしてすき焼き風に使いたいのか、焼肉店で一人前ごとに出したいのかで、必要な状態は違います。

「ノーマルで大丈夫です」と言われた場合でも、商談メモには、部位名、厚み、整形範囲、脂の残し方、1パック重量、冷蔵・冷凍、真空包装の有無を分けて残します。

加工業者に九州スタイルと聞かれた時の確認

九州スタイルのように地域名が付く呼び方は、加工業者との会話で出てくることがあります。

ただし、その呼び方がすべての加工場、すべての国、すべてのバイヤーで同じ意味になるとは限りません。名称だけで発注すると、届いた商品の形が想定と違う可能性があります。

初心者向けに言えば、地域名のつくカット仕様は「その名前を知っているか」よりも、「その名前の中身を図や写真で共有できるか」が重要です。

確認する時は、どの部位をどう分けるのか、どの脂を残すのか、どの筋を取るのか、赤身と脂の見え方をどう整えるのかを見ます。

さらに、海外バイヤーがそのまま厨房で使うのか、現地で再加工するのかも確認します。日本側で細かく整形しすぎると、現地側の歩留まりや単価計算と合わないことがあります。

部位ごとの用途を先にそろえる

日本畜産物輸出促進協会は、和牛のカッティングガイドを動画やパンフレットで案内しています。海外向けに和牛を説明する時は、こうした部位やカットの資料を使って、言葉だけでなく見た目で確認することが大切です。

リブロースやサーロインは、ステーキ、すき焼き、しゃぶしゃぶなど、肉そのものの見せ方が重要な用途に使われやすい部位です。

ヒレは柔らかさを重視するメニューに向きます。一方で、かた、ばら、ももなどは、焼肉、薄切り、煮込み、ロースト、スライスなど、使い方によって価値の見せ方が変わります。

農畜産業振興機構の資料でも、牛肉輸出量の部位別割合として、ロインだけでなく、かた・うで・もも、ばらが大きな割合を占めていることが示されています。

つまり、和牛輸出では高級部位だけを見せるのではなく、相手の業態に合わせて、どの部位をどの料理に使うのかを説明できることが重要です。

商談前に確認したい7項目

1. 部位名

まず、リブロース、サーロイン、ヒレ、かた、ばら、ももなど、部位名をそろえます。日本語名だけでなく、英語名や現地で使われる呼び方も確認します。

2. カット仕様名

ノーマルカット、九州スタイルなどの呼び方が出た場合は、その名前をメモします。ただし、名称だけではなく、図、写真、サンプル画像で中身を確認します。

3. 脂の残し方

和牛は脂の見え方が商品価値に関わります。脂を厚く残すのか、薄く整えるのか、外側の脂をどこまで取るのかを確認します。

4. 筋引きと整形範囲

筋をどこまで取るかで、厨房での使いやすさと歩留まりが変わります。現地で再加工する予定がある場合は、日本側で整形しすぎない方がよい場合もあります。

5. 厚みと重量

ステーキ用、焼肉用、薄切り用では厚みが違います。1枚あたりの厚み、1パックあたりの重量、1ケースあたりの入り数を確認します。

6. 使い方

レストラン、焼肉店、精肉店、小売、EC、ホテルなど、使う場所によって求められる状態は変わります。どの料理で使うのかを先に聞きます。

7. 包装と温度帯

真空包装、個包装、ブロック、スライス、冷蔵、冷凍など、包装と温度帯も商談前にそろえます。ここが曖昧だと、見積もり、物流、検疫書類の確認にも影響します。

初心者が避けたい伝え方

避けたいのは、加工業者から聞かれた時に「ロースです」「ノーマルで大丈夫です」「九州スタイルでお願いします」といった短い言い方だけで進めることです。

相手が肉に詳しい場合でも、国や業態が違えば、同じ言葉で別の商品を想像していることがあります。部位名、仕様名、写真、用途、包装を一緒に出すことで、認識違いを減らせます。

また、海外バイヤーから希望を聞く時は、「どの部位がほしいですか」だけで終わらせないことが大切です。「何の料理に使いますか」「厨房で再加工しますか」「脂はどの程度必要ですか」「1パックの重量はどれくらいですか」と聞くと、必要なカットが見えやすくなります。

商談メモの作り方

和牛の商談メモは、部位、カット仕様、用途、包装を横並びで整理すると見やすくなります。

  • 部位名:リブロース、サーロイン、ヒレ、かた、ばら、ももなど
  • カット仕様:ノーマルカット、九州スタイル、取引先指定カットなど
  • 整形:脂の残し方、筋引き、トリミング範囲
  • 用途:ステーキ、焼肉、薄切り、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ロースト、惣菜など
  • 包装:真空、個包装、重量、ケース入り数、冷蔵・冷凍
  • 確認資料:写真、カット図、サンプル、商品規格書

この形で整理しておけば、仕入れ先、加工場、物流、輸入者の間で同じ情報を共有しやすくなります。

和牛輸出の商談では、良い部位を持っていることだけではなく、相手が使いやすい形で説明できることが重要です。部位名、カット仕様、使い方を分けて伝えることが、商談前の基本になります。

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