牛肉輸出は伸びているが、最初に見るべきは輸出条件
農林水産省の資料では、2025年の牛肉輸出額は731億円、輸出量は12,628トンと整理されています。さらに2026年1〜5月は、前年同期比で金額114%、数量118%とされています。
この数字だけを見ると、和牛輸出は追い風に見えます。しかし実務では、輸出先ごとに求められる条件が違います。農林水産省の「食肉の輸出について」でも、食肉輸出には動物検疫所による輸出検疫のほか、相手国・地域の規制に基づき、認定施設でのとさつ・解体、衛生証明書の添付などが定められる場合があると説明されています。
つまり、商談の前に見るべきなのは「どの国で売れそうか」だけではありません。「その国へ、その商品形態で、その施設から出せるか」を確認することが先です。
仕入れ前に確認したい4つのポイント
1. 輸出可能国・地域に入っているか
農林水産省の食肉輸出ページでは、牛肉の輸出先として北米、中南米、大洋州、アジア、中東、欧州の各地域が整理されています。香港、台湾、シンガポール、タイ、米国、EU、英国、カナダ、オーストラリア、UAE、クウェートなどは、資料上で牛肉の輸出可能国・地域として確認できます。
一方で、同じ牛肉でも国ごとに条件は同じではありません。新しい国へ提案する場合は、まず農林水産省の国別ページや受入れ状況一覧で、牛肉の受入れ条件を確認する必要があります。
2. 使える処理施設・保管施設か
和牛の商談では、産地名や等級だけが先に話題になりがちです。しかし、輸出では処理施設や保管施設が輸出先国の条件に合っているかが重要です。農林水産省は主要な輸出認定施設の資料を公開しており、国・地域ごとの認定状況を確認できます。
仕入れ先が決まってから施設条件に合わないと分かると、代替施設の確認、カット仕様の変更、納期調整が必要になります。初回商談では、希望国と希望部位だけでなく、処理施設名や加工形態も早めに整理しておくと安全です。
3. 衛生証明書と輸出検査の段取り
食肉輸出では、相手国・地域の条件に応じた衛生証明書や、動物検疫所による輸出検査が関係します。必要書類は国別に異なるため、過去に別の国へ輸出できた商品でも、そのまま別国へ横展開できるとは限りません。
特に小口出荷やテスト販売では、商品単価よりも書類・検査・物流の段取りが全体スケジュールを左右します。輸出可否を確認する段階で、輸入者側が求める証明書、ラベル、温度帯、納品条件も合わせて確認しておくべきです。
4. カット仕様・温度帯・販売先の整合性
農林水産省の2026年7月版資料では、輸出先国の多様化・複雑化するカットオーダーへの対応も取組として挙げられています。海外バイヤーが欲しい部位、厚み、包装単位、冷蔵・冷凍の希望は、国内流通の都合と一致しないことがあります。
現地レストラン向けなのか、精肉店向けなのか、EC向けなのかによっても、求められる仕様は変わります。輸出条件と販売先の使い方を同時に確認しておくことで、仕入れ後の再加工や再見積もりを減らせます。

和牛輸出の相談では、数字より先に条件表を作る
牛肉輸出が伸びている時期ほど、商談は前向きに進みやすくなります。しかし、実務では「この国へ出せるか」「この施設で処理できるか」「必要証明書を用意できるか」「希望仕様で出荷できるか」を先にそろえる必要があります。
あさひ通商では、水産物・和牛の輸出に関する書類確認、輸出可否の整理、海外販路開拓の相談を行っています。和牛を海外へ提案したい場合は、国名、商品形態、希望数量、仕入れ候補、納品希望時期をまとめた上でご相談ください。
和牛輸出の可否確認・書類確認をご相談ください。
輸出先国、認定施設、衛生証明書、カット仕様を仕入れ前に整理し、商談後の手戻りを減らすための確認を支援します。