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EUの包装規制を輸出案件へ反映するための確認順

EU向けに冷凍水産物や脱骨済み和牛を出荷する案件では、包装は単に商品を保護するための資材ではありません。食品に触れる内装、外装箱、ラベル、包装を供給する事業者の資料まで、確認する対象が分かれます。

2026年8月12日からEUで適用された包装・包装廃棄物規則(PPWR)は、EU市場に置かれる包装を対象に、包装の設計、物質、表示、循環性に関する共通の枠組みを定めています。食品に接触する包装には、PPWRとは別に食品接触材の安全性に関する規則も関係します。

この記事では、EUへ送る冷凍ブリなどの水産物、または脱骨済み和牛を例に、包装規制を案件へ反映する確認順を整理します。個々の包装材や貨物が適合するかは、包装材供給者の資料と仕向地の実務確認が必要です。

PPWRと食品接触材の規則を分けて把握する

PPWRはEU市場に置かれる包装の共通枠組み

欧州委員会は、PPWRがすべての材質・原産にかかわらずEU市場に置かれる包装と包装廃棄物を対象とする、直接適用の制度だと説明しています。水産物の外装段ボール、冷凍品の内袋、和牛の真空包装、輸送時の保護材は、用途と構成を切り分けて把握します。

ただし、PPWRだけを読んで包装を決めることはできません。食品に接触する面は、食品接触材(FCM)の一般規則と、プラスチックなど材質別の規則も確認します。外装箱と内装フィルムで確認先や資料が異なるため、包装を一つの品名として扱わないことが実務上の出発点です。

確認する制度主に見る対象案件で残す資料
PPWREU市場に置かれる包装全体包装構成、用途、適用時期、供給者への確認記録
食品接触材の一般規則食品に触れる容器、フィルム、トレーなど材質、使用条件、トレーサビリティの確認記録
プラスチックの個別規則プラスチック製の食品接触材適合宣言書、裏付け資料、使用条件

先に「市場に置く者」と貨物の流れを確認する

日本側の輸出者が包装材を選定しても、EU域内で誰が包装された商品を市場に置くのかで、現地の確認先と役割が変わります。売買条件、EU側の取引先、包装材の供給元、冷凍保管や再包装の有無を、案件ごとに一枚の表へ集めます。

水産物の冷凍フィレであれば、食品に直接触れる袋、吸収材を使う場合の材質、内箱、外装箱を分けます。脱骨済み和牛であれば、真空袋、トレー、ラベル、外装箱を分け、骨付き肉を前提にした荷姿と混ぜません。品名、部位、温度帯、賞味期限、荷姿は、包装仕様を判断する前提になります。

EUの包装規制を輸出案件へ反映するための確認順

食品に触れる包装から確認を始める

食品接触材は安全性と使用条件を照合する

欧州委員会は、食品接触材について、食品へ移る成分が健康を害したり、食品の組成、味、においを受け入れられない形で変えたりしないことを求める枠組みを示しています。冷凍品であっても、接触材の材質だけではなく、接触する食品、温度、接触時間、密封方法を包装材供給者へ伝えます。

例えば、冷凍ブリの内袋を確認する時は、魚種名だけで終えず、冷凍保管、解凍を想定するか、油分のある食品に接触するか、印刷面が食品へ触れない設計かを仕様書へ記録します。脱骨済み和牛の真空包装でも、冷凍か冷蔵か、部位、脂肪分、密封工程、販売時の包装変更の有無を分けて確認します。

プラスチック製の内装は適合宣言書を確認する

欧州委員会の食品接触材ページでは、プラスチック製の食品接触材には、使用できる物質、使用制限、適合確認の規則があり、製造連鎖で情報を伝えるため適合宣言書(Declaration of Compliance、DoC)が必要になると説明しています。輸出者自身が化学的な適合を判定するのではなく、供給者から今回の用途に対応する資料を受け取ります。

  • 包装材の品番、材質構成、食品に触れる面を、発注書と一致させる
  • 冷凍・冷蔵、想定接触時間、食品の種類を、供給者へ具体的に伝える
  • 適合宣言書の対象製品、発行者、版、使用条件を確認する
  • 資料の対象外である加工、印刷、接着、再包装がないかを工程表と照合する

適合宣言書は、貨物に添付する通関書類と同じものではありません。どの工程で誰が保管し、取引先または当局から確認を求められた時に提示できるかを、現地側とあらかじめ決めます。製品の変更や包材の切替がある時は、以前の資料をそのまま流用せず、品番と用途を見直します。

PPWRの対象事項を包装仕様へ置き換える

PFAS規制は食品接触包装を優先して確認する

欧州委員会は、PPWRの適用開始とともに、一定の基準を超えるPFASを含む食品接触包装をEU市場に置けない制限が適用されると公表しています。PFASは耐水・耐油性のために食品包装で使われてきたと説明されているため、冷凍水産物や和牛の包装で、耐油紙、コーティング、複合材、接着層を使う場合は、供給者への確認対象から外しません。

ここで必要なのは、資料があるという確認だけではありません。資料がどの品番、どの構成、どの食品接触用途に対応するかを照合します。PFASの有無や基準への適合について、輸出者が外観から判断することはできないため、供給者の書面による回答と、必要に応じた裏付け資料を確認します。

包装の部位確認する内容確認先
食品接触面の袋・トレー材質、使用条件、適合宣言書、PFASに関する回答包装材供給者
吸収材・シート・コーティング食品と接触する可能性、材質構成、用途別の資料供給者と加工工程の担当者
外装箱・輸送保護材食品接触の有無、包装構成、EU側の回収・表示要件包装材供給者とEU側の取引先

2030年以降の措置と直近の確認を混同しない

PPWRには、2030年以降に適用される再生材、リサイクル可能性、再使用、空き空間などの措置もあります。欧州委員会は、統一表示は2028年から、特定の包装廃棄物削減措置や、全ての包装をリサイクル可能にする要件は2030年から適用されると案内しています。

案件の見積りや包材切替を検討する時は、出荷時点に適用される条件と、将来の設計変更として準備する条件を分けます。将来の目標を、今日の貨物に直ちに必要な証明書や表示と読み替えないことが重要です。適用時期が未確認の項目は、確定事項の欄へ入れません。

仕様書、表示、物流の順に案件へ反映する

実務上の整理例で確認記録を作る

次の表は、公的な提出様式ではなく、案件の情報を散らさないための実務上の整理例です。水産物または脱骨済み和牛の貨物ごとに作り、変更があった欄だけを更新します。確認先と回答日を残すことで、包装材の仕様と現地側の確認事項を同じ表で追えます。

確認順確認内容記録する項目
1貨物と包装構成を特定する魚種または脱骨済み和牛の部位、温度帯、荷姿、包装品番
2食品接触面の資料を集める材質、DoC、使用条件、供給者、資料の版
3PPWRの対象を照合するPFAS回答、包装の用途、適用時期、未確認事項
4表示と物流の情報をそろえる品名、数量、重量、ロット、賞味期限、保管温度、EU側の確認結果

表示と書類は包装の変更後に再照合する

包材の品番や印字内容を変更した後は、ラベル、インボイス、パッキングリスト、商品仕様書、ロット管理の記載を照合します。包装の表面に印字する情報と、貨物書類の商品名、内容量、ロット、温度帯が一致しない場合は、どの資料を正とするかを決める前に確認します。

EU側の取引先には、現地での販売形態、再包装の予定、加盟国ごとの追加確認先、包装に関する登録や費用負担の役割を確認します。EU共通のPPWRがあっても、食品接触材の一部では加盟国の規定が関わる場合があるため、一般的な説明だけで貨物の適合を断定しません。

冷凍物流の条件と包装の仕様を結び付ける

水産物と脱骨済み和牛は、包装規制への対応と温度管理を別の仕事として分けすぎない方が確認しやすくなります。冷凍・冷蔵のどちらで保管・輸送するか、荷役時の扱い、結露への対応、再梱包の有無は、食品接触面の使用条件や外装の仕様に関わります。

初回出荷では、工場から倉庫、航空便または海上便、EU側の保管先までの工程を時系列で並べます。各工程で包装を開封するか、ラベルを貼り替えるか、荷姿を変更するかを確認し、変更する工程があれば、使う包装材の品番と根拠資料を再照合します。

包装材を切り替える時は、商品部、品質管理、物流、EU側の取引先がそれぞれ確認した内容を、同じ案件記録へ戻します。確認中の事項は、回答者と期限を付けて分けます。出荷日が近いことを理由に、未確認の包装材を適合済みとして扱わないことが、後の書類修正や仕様変更を減らします。

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